業「あなた〜」
あなた『あ!業!会いたかったぁああ』
やっぱり慣れない空間にずっといると、
心細い。
業「よしよし、で、友達はできたの??」
あなた『あー、1人だけ笑』
業「誰?」
あなた『浅野学秀くん!』
業「げ、そいつ理事長の一人息子じゃん。
…何かあったらいつでも呼ぶんだよ?」
あなた『何かって別に何もないよ!あ、一緒に帰ろうね?』
業「当たり前の事は言わなくていいから。
じゃあ、また放課後ね」
あなた『はーい』
そう言うと業は行ってしまった。
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今日は教材やら何やらがいろいろ配られた。
あなた『う…お、も…たい…』
業「は?まさか全部持って帰るつもり?」
あなた『え?もちろんだよ?』
業「置き勉しなよ、ったくしょうがないな」
ほら、と半分持ってくれた。
あなた『ふふ、業はいつも何やかんやで
優しいよね』
業「あなただけだよ。」
あなた『やったぁ』
業「(鈍感すぎ。笑)」
あなた『あ。学秀』
学秀「あなた。また明日))ニコッ」
あなた『また明日ね!』
業「あれが浅野クンか。
良いルックスしてるね〜タイマンじゃ弱っちそうだけど。」
あなた『意外と強かったりするかもよ?
なんせ理事長の息子だし。』
業「……アイツのことかっこいいとか思う?」
あなた『別にそんな感情はないよ笑』
業「ふーん、なら良いけど。」
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あなた『じゃあまたね!』
業「待って、あなた。」
あなた『何?』
業がこっちにゆっくりと近づいてくる。
ぎゅっ
途端に抱きしめられた。
あなた『えっと……、どうしたの?
あ…また寂しくなっちゃった…?』
業は小さい頃から寂しくなると私を抱き寄せて、
その度に私が慰めていたのだ。
業の親はよく海外旅行に行くし、それもあって寂しいという感情を小さい頃からよく味わっていたのだ。
業「……あなたと離れ離れになるのが嫌。」
あなた『大丈夫、ずっと傍にいるよ。』
業「ほんと…?」
そう言った業の目は小さい頃から何も変わっていない。
まだ喧嘩が弱かった幼稚園のころ、
近所の子供に虐められていた私を助けてくれた事を思い出した。
その時沢山怪我してボロボロになった業は私に泣きながらこう言ったんだ、
「全然痛くないし、俺が助けてやったから。」
あなた『ねえ…業』
業「ん…?」
抱きしめられたまま言う。
あなた『業はこれからも大事な幼馴染だよ』
業「……うん。」
あなた『今日、家来る?一緒にご飯食べようよ。』
業「いいの?行く行く〜」
けろっ、といつも通りの業に戻った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!