廉 side
妹の澪織からの返信を見るなり俺は急いで家を出た。
今日あいつ傘持って行ってなかったやろ?
ほんまに仕方ない妹やなあ
そう思いながらもこうして澪織の世話を焼くのは好きだったりもする。
澪織が放課後よく行くスタディカフェを目掛ける俺の手にはもちろん1本の傘。
せっかく一緒におんのに傘2本ってなんか寂しいやん?
幅取って歩きにくいしなりよりちょっと距離空いて話しにくくなるし寂しいやん?
我ながらどこの兄貴の妹愛にも負けへん自信があるなあなんて呑気なこと考えとったら目の前から澪織が歩いてくるのが見えた。
...ん?隣におんのは...男!?
俺はあまりのショックにその場に硬直してしまってたんやろうか必死に俺に声をかける澪織の声なんてなかなか届かんかった。
目の前にいる澪織の横には認めざるを得ないほど顔が整った美少年がいた。
俺が誰なんかこいつ知ってんのかな?
とだけ言うと俺は強引に澪織の腕を引いて自分の傘の中に入れる。
とりあえずその美、いや普通の少年に軽く会釈だけして歩き出す。
肩に手を回したまま少しでもカレカノ感が出るようと思いながら。
そう俺は 澪織 が好きだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。