第25話

文月くんの過去
お昼になってご飯を作ってキッチン机に並べた。

皐月くんは2階に用があるだとかで行っちゃったけど。





だから今は文月と私の2人だけ。







秋葉
そういえば、聞いていいか迷ったけど
文月 颯
なにー?











この時、私は依頼人はどっちのお母さんなのか聞いた。


2人は依頼人お母さんに対して怯えて見えたから。


その人のこと聞くか迷ったけど。




あの人は皐月くんのお母さんだったらしい。



それで文月くんは養子として引き取られたんだとか。















でも、苗字は皆、和風月名で揃えてたからそのままらしい。




文月 颯
おらね、三人兄弟なんだー
秋葉
へぇー…そうなの?!




三人兄弟なんだ…!






私は美鶴くんと今は・・・2人兄弟。

その前のことは あんまり覚えてないけど。、




三人兄弟って事は楽しいんだろうなぁ。




文月 颯
うん!弟と妹なんだけど すっげぇ可愛いのっ



そう言って笑う文月くんの顔はお兄ちゃんの顔に見えた。










あれ。でも、文月くんって皐月くんの家の養子って…。




文月 颯
おらが兄って事は知らないんだけどね。



え。



そう言って、文月くんは目をふせた。

無理やり笑ってるような顔。









すごく苦しそうな顔。





文月 颯
母ちゃんね、びっくりしたんだって…



そう言って、文月くんは話し出した。





師走さんが教えてくれたとおり、






和風月名は弱ってる時や感情の激しい上下。
異性との密着だったり



人によっては他のことでも変身してしまうらしい。










そして和風月名の受け継ぎは誰に受け継がれるか分からない。


ランダムなもの。








そして そんな条件の中、文月くんが生まれた。




文月 颯
おら、男っしょ?だから…
母ちゃんですら異性として入っちゃうんだ



そう言う、文月くんの目には涙がいて











文月くんはそれを抑えるように

堪えるように









続きを話始めた。






母ちゃんが生まれた子に すぐすることって何でしょう

文月くんはいきなり、そんな質問をしてきた。




そう聞かれて、私が困っていると
文月くんはフッと笑って答えを教えてくれた。










そして。その答えを聞いたとき…

まさか…というのが頭をよぎった。



文月 颯
えっへへー
文月 颯
抱っこされたらしいんだ、おら
そしたら…





そしたら…変身してしまった。







初めて見る姿。




私や美鶴くんのように受け止めれる人はいる。

けれど、それが自分文月くんに近ければ近いほど。









そして、それに1番近かったのは文月くんのお母さんだった




生まれてきた子が自分の手に抱きしめられたら
動物になる…それってどんな気分なんだろうね




そうやって言う文月くんは未だに無理やり笑っている。





文月 颯
気持ち悪いって思うのかな…?




そう言って
無理やり作った笑顔をしながらも話し続ける。







それから、
和風月名のことを知った上の人が説明に現れたらしい。










文月くんのお母さんは その人の話を聞いて

ちゃんと向き合おうとしていた。














でも、知れば知るほど不安が増えていって


心が弱っていったらしい。













そして3年が経って赤ちゃんができた。












双子の赤ちゃんが。


そして、生まれた子は普通の人間だった。

















でも そこで文月くんのお母さんは壊れてしまったんだ。







双子の面倒はお手伝いさんが見てくれたらしい。





文月 颯
それからは
母ちゃんの泣き顔を毎日見ることになったんだ。
文月 颯
おらにね…言うんだよ
文月 颯
なんで普通じゃないの?

なんで…なんでってね。





『それでも母ちゃんは優しい人だったよ。』

『それに、おらも好きだった。』











そう言って文月くんは
目に溜まった涙がついに流れ始めたが




それを気にせずに話してくれた。










文月くんのお母さんは壊れていった。





ある時、上の人が来て提案をしたんだ。

お母さんから文月くんだけの記憶を消してしまうことを。











それを文月くんはドアの隙間から聞いていた。






文月 颯
でも、仕方ないって思った
母ちゃんが壊れるくらいなら
文月 颯
おらの記憶は…って
でもね…



でも…文月くんのお母さんは賛成しなかった。




『私から…あの子の記憶を消したくない!』


『だってあの子は…可愛い私の子供ですもの』














そう言って断った。




文月 颯
おら…凄く嬉しかった。
文月 颯
本当は おらの記憶消されたくなかったから
本当は覚えてて欲しかったから…



でも…文月くんのお母さんは死んじゃった。






可愛い我が子と その呪いを考えると

記憶は消したくなかったが













耐えきれなかったらしい。









文月 颯
だから…母ちゃんを殺しちゃったのは
文月 颯
おら…なんだ。
秋葉
そんなことない…ッ








そう言って私は文月くんを抱きしめた。



変身しちゃうからダメだと思ったけど。












これが1番伝わるって思ったから。




文月 颯
う、ぇ?!


ボボンと音がして文月くんは人間の時より

小さなサイズになる。










その小さな動物を潰さないように

優しく、優しく抱きしめる。









秋葉
それでも…
文月くんのお母さんは覚えたかったんだよ



小刻みに揺れる、茶色の毛を撫でながら私は話す。




秋葉
大切だったんだよ
秋葉
だから、そんなに自分を責めないで…?



そう言うと文月くんは
肉球でぷにぷにとしながら一生懸命私を抱きしめた。








文月 颯
ぅ、うぅ…



きっと、文月くんのお母さんは
文月くんにそう思って欲しくない。








それを…
私がこれから救えていけたら いいな。