放課後。
今日も、知千は自分の机に突っ伏していた。
風を浴びながら、ジャムを待っている。
…。
(本当に昨日と同じになっちゃったな…)
昨日と今日、よく似ていて、まるで同じ日をループしたようにも感じられた。
ふぅー…。
「失礼しまーす!」
わっ…!
耳元で囁かれてびっくりした知千は体を起こした。
わっ?!
あ…。
すみません…。
ううん、大丈夫。
こちらこそ、急に驚かしてごめんね。
いえ…。
…今日も教室から出ていないカンジ?
…はい。
なーるほどね…。
そういえば、お母さんとはどうだった?
楽しく過ごせたかしら?
はい、久々に会えて…嬉しかったです。
一緒にご飯も食べたりして…。
そう、良かった~。
…私も久々に両親に会いに行ってこようかな~。
…そういえば、君、お母さんと会うの久々って言ってたけど…。
もしかして、君も一人暮らし?
確か、この学校、学生寮は無かったはずだから…。
あ、いえ…一人暮らしでは無いですけど、一人暮らしに近いというか…。
その…俺の母さんは泊まり込みの旅館で仕事をしていて、よく家を空けるんです。
だから…一人になることが多くて…。
なるほど、お母さん一生懸命働いているんだね。
お父さんは?遠くにいるの?
え、えっと…そうですね。すごく遠いところ…。
すごく遠いところ…?
そうです…その、空の上です。
空の上…。
あ、その…実は、俺の父さん、4年前に亡くなっているんです…。
そうだったんだね…。
病気で…。
うん…。
結構…急だったんです。
…病気が見つかるのも、亡くなってしまったのも。
俺…父さんに憧れてて、大人になったら父さんみたいになろうって、よく考えてました。
…大人になって、家族が出来たら、父さんみたいに働いて、家族を幸せにしようって。
そして、自分を育ててくれた父さんや母さんを、次は自分が幸せにしていけたらなって…。
うんうん…。
でも、それを父さんたちに言うのが恥ずかしくて…出来なくて
「大切な人に想いを伝える」っていう授業があって…最後は、授業参観でそれを発表することになっていました。
俺は、いつか父さんみたいになるって発表して、それを父さんに聞いてもらうつもりだったんです…。
…うん、そうか。
…でも、その前に父さんは亡くなってしまった。
そうだったんだね…。
…こんなに、父さんのこと話したの初めてだな…。
…今まで、話せなかったの?
…みんな可哀想がったり、腫れ物に触るような感じで
「思い出さなくて良いよ」「変なこと聞いてごめん」とか…
俺は話を聞いてもらいたかったんだけど…
…なかなか話せなかったんです。
うん。
でも、ジャムさんはずっと聞いてくれました。
…ありがとうございます。
話した方が良いよ、全部。
話した方が良いんだよ。
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