自宅。
いつものように薄暗い部屋の中、スマホの画面をスクロールする。
「アルターエゴとは」
「アルターエゴ」は、「オルターエゴ」とも言われ、「別人格」という意味がある。
哲学においては「他我」の意味で使われる。
「他我」とは、他者の持つ自我のこと。
「別人格」は、「解離性同一性障害」でよく耳にすることが多い気がする。
その名の通り、「別の人格」という意味。
芸術や芸能、特に音楽などの分野では、その人物が意図的に異なる人格として作られ演じているものを指す事が多い。
「人間 もともと 二重人格」
人間は元々「動物本能」と、文化の体現者としての「人間的行動」。
その二つの頭を持っている。
元々が二重人格を形成するようになっているのだ。
大脳生理学で言うと、他の動物と同じ脳(これを恐竜脳と言う)を持っているけど、その上に大脳新皮質という動物にはない膜のような脳が覆っているのだ。
だから、動物本能を大脳新皮質が統合制御しながら生きているのが人間である。
「エス 抑える エゴ」
「防衛機制」
人の心は三つの要素から構成される。
人間が根源的に抱いている本能的欲動である「エス(またはイド)」
エスを制止する「超自我(スーパーエゴ)」
そして両者の間で懸命に適切な道を探る「自我(エゴ)」である。
エスはそれ自体、本人にとっても認めがたいものであるため、自我はそれを意識に上らないように様々なかたちで抵抗する。
防衛機制とは、自我がイドに対して抵抗するために用いる手段のことを指す。
少し行き詰まった。
ふと、スマホの上の方を見た。
『23:00』
慌てて布団をかぶった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!