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第2話

雨濁─うだく─
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2019/04/01 06:12
長く続く雨によって濁った海を見る。

この濁り切った海がまるで自分の心の様で、目が離せなかった。

傘も差さずにびしょ濡れになりながら砂浜に棒の様に立っている私に声を掛ける人は誰も居ない。

皆自分の事が一番大事なのだ。

例え私に声を掛けようが、それはただの偽善でしかない。


私がこんなにも曲がった思考をして仕舞う様になったのはある事件からだった。


あの日も今日と同じ様な雨だった。

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