無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第9話

<2-2 あやしいふたり>
教室を出た私は、とにかく知り合いに聞いてまわった。
中学のときの友達とか、おなじ図書委員の子とか、祐生の友達とか、いろんなひとに。
転校生を知っているか? どんなひとなのか? 祐生との関係は?
結果、返ってきた答えは。
中学のときの友達
ああ、B組の高星桜たかほしさくらさんでしょ? めちゃめちゃ美人だよね!
図書委員の子
前の学校は華京女子高だってさ。いわゆるお嬢様学校。なんで転校したのかは知らない
祐生の友達
誰ともしゃべらないから女子のあいだでも浮いてるみたい
中学のときの友達
友達いないっぽいよ。──あ、日吉とだけは仲いいけど。生徒会にも誘ったらしいし
祐生の友達
すげぇかわいいし告ってみたら、そっこー断られた! 好きなひとがいるんだってさー
……という、聞けば聞くほど不安が大きくなるものばかりだった。
高星桜。美人で上品で知的らしい。しかも祐生とかなり仲がよい様子。
正直言って、ライバルだとしたら強力すぎる。
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ
(祐生が高星さんとつきあったらどうしよう。どうすればいいの?)
あせる私に、図書委員の女子が告げた。
図書委員の子
高星さんなら、さっき日吉くんと情報科教室に行ったよ
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ

(ふたりきりで情報科教室!?)
まずい。
これは、かなりまずい。
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ
(そんなの、いかにも告白しそうじゃない────!)
「天野さん?」と不審そうな声をあげる女子を無視して、私は夢中で走り出した。

人込みをかきわけて、階段をのぼって。
たどりついたのは廊下のつきあたりにある情報科教室だ。
そっと扉に近づくと、祐生の『えっ?』というとまどう声が情報科教室から聞こえてきた。
なにがあったんだろう。気になって、さらに扉に近づく。
盗み聞きなんてだめだとわかっていても、つい耳をすましてしまう。
続けて聞こえてきたのは、涼やかな女子の声。
高星 桜
高星 桜
べつにわたしはいいわよ
日吉 祐生
日吉 祐生
でも高星さん
祐生が呼びかけるのが聞こえた。どうやら涼やかな声のぬしは噂の高星さんらしい。
日吉 祐生
日吉 祐生
俺は無理にするようなものじゃないと思う
高星 桜
高星 桜
本気ならそれくらいするべきだわ。それとも遊びのつもりでわたしを誘ったのかしら?
日吉 祐生
日吉 祐生
そういうわけじゃないけど
困った様子の祐生と、つめよるような高星さん。
聞こえてくるふたりの会話に、私の指先が冷たくなる。
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ
(これは、どういう状況?)
おそるおそる、扉に手をかける。
高星さんの淡々とした声がひびいた。
高星 桜
高星 桜
なら、かまわないじゃない。────キスくらい
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ
(な────)
頭のなかが真っ白になる。
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ
ちょちょちょちょっと待ったーーーー!
気付けば反射的に叫んでいた。
ばん! といきおいよく扉を開ける。
直後。
日吉 祐生
日吉 祐生
あれ、ヒカリ?
きょとん、と、ふしぎそうな顔をする祐生と目が合って。

「誰?」「どうしたんだ」「なにかあったの?」「用事かな」「だいじょうぶ?」
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ
(えっ)
祐生のまわりにいるたくさんのひとが、私を見ていた。
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ
(……ふたりきりじゃ、ない?)
てっきり、祐生と高星さんは情報科教室にふたりきりなんだと思っていた。
しかもキスをしようとしているんだ、と。
だからあせって扉を開けたというのに、じっさいの情報科教室には祐生をふくめて生徒が十人ほど、おとなしく座っている。
教壇には背の高いきれいな女子生徒が立っていて、私をじっと見つめた。
彼女の背後にあるホワイトボードには大きな文字が書かれている。
〝文化祭の生徒会出し物 会議〟。
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ
(こ、これって、まさか)
ひやり。
背中に冷たいものが流れる。
人生で最高に嫌な予感がする。
だらだらと冷や汗を流していると、すみに座っていた男子生徒が立ち上がった。
赤みがかった茶髪の男子生徒は、つかつかと私の前まで歩いてくる。
やがて。
どこかで見たような冷ややかなまなざしが向けられた。
茶髪の男子生徒
いまは生徒会の会議中だ。なにか用か?
天野 ヒカリ
天野 ヒカリ
(やっぱりいいいいいい)
低い声とともに、茶髪の男子生徒が私の前に立ちはだかった。