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第1話

一つ目
72
2018/08/12 00:09
私は弓道部に所属しています。

夏休みのある日、近隣の高校との合同練習が三日間行われました。

その三日目のことです。

最終日なので、午前はちゃんと練習しましたが、午後からは余興として、弓道の的の代わりに小さめに膨らませた風船をつけ、それを矢で割る、というのをしました。

風船は全部で9個つけられ、私は前から6番目の風船が狙える場所に立ちました。

その時、近くに同級生の女子と後輩の男子がいたのですが、
後輩の男子
なんかあなた先輩に風船当てられそうですね〜
同級生の女子
いや、多分当たらないよ
そんな会話が聞こえてきました。

聞こえていないフリをして、気にしないようにしようとも思っていたのですが、恐らく心の底では相当腹が立ったのでしょう。

私は、冷静に弓を引いて――――見事、青い風船を割りました。

周りから歓声が上がり、友達が「やったね!」「おめでとう」と声をかけてくれる中、私はその場所を退きました。
同級生の女子
うわ当てた……
ぼそりと呟かれた言葉を聞いて、少し胸がスっとしました。

あの時風船を割ることができてよかった……!笑

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