私は弓道部に所属しています。
夏休みのある日、近隣の高校との合同練習が三日間行われました。
その三日目のことです。
最終日なので、午前はちゃんと練習しましたが、午後からは余興として、弓道の的の代わりに小さめに膨らませた風船をつけ、それを矢で割る、というのをしました。
風船は全部で9個つけられ、私は前から6番目の風船が狙える場所に立ちました。
その時、近くに同級生の女子と後輩の男子がいたのですが、
そんな会話が聞こえてきました。
聞こえていないフリをして、気にしないようにしようとも思っていたのですが、恐らく心の底では相当腹が立ったのでしょう。
私は、冷静に弓を引いて――――見事、青い風船を割りました。
周りから歓声が上がり、友達が「やったね!」「おめでとう」と声をかけてくれる中、私はその場所を退きました。
ぼそりと呟かれた言葉を聞いて、少し胸がスっとしました。
あの時風船を割ることができてよかった……!笑
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。