第4話

人魚の涙(僕)
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2018/06/20 05:22
あの日僕は海辺で歌っていたんだ

君と出会うことも知らず

振り返ると君がいたんだ

僕は君に恋をしたんだ

だけど君には想い人がいた事を

僕は知ったんだ


君がそれで幸せなら

僕はこれでいいんだと

だけど僕は人間じゃないから

どうしようもなくて でも

もしも僕が人魚じゃなかったら

良かったのかな?


僕達はやがてすれ違い数年がたった

僕は海の魔法で人間になろうとしたんだ

その人は僕にこう忠告したんだ

「人魚の王子よ、決して忘れるでないぞ

お前は人間になる代わりに

声を失うことになる。もし、

言葉を発してしまったら、

その身体は泡となって消えるだろう」と


僕は人間になる代わりに

呪いをかけられたんだ

でも それで君にこの思いを

伝えられるならこれでいいんだと

僕は思ったんだ


そして僕はあの海辺で君を見つけて

自分の思いを伝えたんだ


"キミが好き、大好き"


どうかあなたは幸せでいて

僕は君の中生き続けてゆく

声にならない言葉は

泡になり風になり

もう君には届かない…


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