あの日私は海辺で
どこからか綺麗な歌声が聞こえてきたんだ
君と出会うことも知らず
振り返る君は驚いた表情で
頬を染めていたんだ
私には想い人がいるから
君は好きになったらいけないんだよ
分かってる?
私はあの歌声をきっと忘れないから
いつか戻ってくるから
私達はすれ違い数年がたった
私はあの日君と初めて出会った
海辺に来たんだ
もう私には見えなくなってしまったけど
この海には大切な思い出があるんだよ
私は視力を失ってしまった
けどきっとあの人は来てくれるはず
そう思いながら
海の音色をただ1人で聞いていたんだ
突然抱きしめられた時
私はあの時の君だとわかったんだ
君は何かを言っているようだったけと
泡になって風になって
砂浜に落ちたペンダントだけが
残っていたんだ
私はこんなふうに聞こえたよ
"好き…"ってね
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。