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第1話

#1話
226
2018/11/13 15:31

〜4月〜





桜が咲き乱れて、
暖かい風が吹いている。




天気は快晴。まさに入学式日和。





そんな中で春に、似合わず
ギャーギャー騒いでいる私たち…。





遅刻した私たちは、



慣れないローファーと、
ブカブカの新しい制服に苦戦しながら





学校に向かって全力で走って行く。






遅刻した理由は、




この私の寝坊が原因……。



情けない子でごめんなさい。笑




だから、私は


学校に行く前から半分メンタルがやられていた。



大平まみ
大平まみ
もー‼︎やば‼︎まじで遅刻…泣





なんて泣きそうになっている私。




というかもう泣いている私。







柏木みら
柏木みら
もー‼︎泣くなああ‼︎
ほら‼︎足動かして‼︎





と励ましてくれているのは、




私の親友の柏木みら(かしわぎみら)




みらとは小学生の頃から仲が良くて、






いつもダメダメな私のお世話をしてくれる、お母さん的な存在。







大平まみ
大平まみ
だってええみらぁ泣
ローファー走りにくいぃ泣





なんて、ついついみらに甘えちゃう私。





私たちは走りながらこんな会話を、


もう30分も続けていた。




柏木みら
柏木みら
私も同じだから‼︎
ほら、学校見えて来たよ‼︎
あと少しの我慢だから‼︎




みらの言葉を聞いて前を見ると、


校門と、校舎が見えていた。


(ほんとだ‼︎見えた!あと200メートルくらいかな⁇)なんて思いながら、



校門と校舎めがけて走る。




そして、距離がだんだん近づいてきて、



いざ、校門と校舎を目の前にすると、



(私、本当に高校生になったんだ‼︎‼︎)



という、実感がなぜか急に湧いてきてしまった。



それと同時に、胸の中がワクワク感でいっぱいになった。





校門まであと少し…。



花の高校生活スタートまで、
あと、約50メートル‼︎‼︎




大平まみ
大平まみ
みら!校門見えた‼︎
あそこまで競争しよ‼︎‼︎





高校生活の事を考えると、
ワクワクが抑えきれずに、



みらにそう提案してみる。





柏木みら
柏木みら
いいけど、転んじゃだめだよ?
新しい制服なんだから!



(みら、相変わらずのお母さんぶり…‼︎)


なんて思いながら、



大平まみ
大平まみ
わかってるって!
じゃあ行くよおお⁈



と、思いっきり合図をする。



大平まみ
大平まみ
よおおおお〜い‼︎ドン‼︎‼︎‼︎




50メートルを一斉に走り出す私たち。



私はもともと走る系は得意だし、

みらは、スタート出遅れたのもあって、


私は、みらよりも早く校門に着けた。




大平まみ
大平まみ
ぃやったぁ!勝ったぁ‼︎




と叫び、両手を上にあげる。


そして、校庭を見回して、



(こんにちは‼︎花の高校生活‼︎)と



私は上を見上げ、校舎を見ながら

心の中で叫んだ。



(もっと高校生らしくなるぞ‼︎)




という、自分の中での目標も決めて、



いざ‼︎花の高校生活スタートです‼︎







というわけにもいかず……。



そんなに簡単に変われないのが人間というものだね笑






私も、人間で…今日から変わることはできなかったみたい。





〈ガッ!〉





上ばっかり見ていた私は、



校門の出っ張りに躓き、




いつのまにか体は宙に浮いていた。



柏木みら
柏木みら
まみ‼︎‼︎




みらの声がする。


私はぎゅっと目を瞑った。



(あーこれ結構痛い転び方かも…。)


なんて思いながら、



次にくる、痛さに備えて倒れるのを待っていた。



(あーぁ、入学式泥だらけだろうな…。)



なんて事も考えていたのに、


いつまで経っても、


私の体は地面につかずに、


覚悟していた痛さは襲ってこない。




大平まみ
大平まみ
あれ?痛くない…。


それどころか、



目を開けると体はまだ宙に浮いたままだ。



大平まみ
大平まみ
あれ?なんで⁇
だって確かに転んだのに…。
確かに転んだはずの自分が
まだ転んでいないことが不思議で、

わけがわからなくなった私は、


その体制のままで、


なぜ転ばなかったのか考え始めた。



(あれ?だって確かに何かに躓いて…
それで、泥だらけになる覚悟もして…)


なんて、足りない頭で考え混んでいる自分。


すると、



私の頭の上から、





男の人の落ち着いた声が聞こえてきた。




⁇
あのさ、君、いつまで俺の腕の中で、
考え事するき?それと、新入生ならもう少しで入学式始まるから、急いだ方がいいんじゃいかな?



その声を聞いて、

ようやく状況を理解する私。

(あ、この人に助けてもらったんだ‼︎)

なんて思いながら、


慌てて立ち上がり、


「すいませんでした!
ありがとうございました‼︎」

と言おうとした。



だけど、その声は



みらの声慌ただしい声が被って、消えてしまった。




柏木みら
柏木みら
まみ‼︎やばい‼︎
もう入学式が始まる時間‼︎‼︎


みらがそう言って、

慌てて私の手をとり、

体育館まで引っ張って行こうとする。



しかし、男の人が


⁇
待って。


と私とみらのことを呼び止めた。

⁇
君たち、並ぶクラスどこかわかってるの?番号とかも。


……そういえばそうだ。


私たちは遅刻ギリギリできたから

まだクラスも番号も知らない…。


大平まみ
大平まみ
みら!知ってる⁈


みらに聞いてみたが、

顔を見る限り、みらも知らなさそうだ…。




というか、学校にくるまで、


ずっと一緒にいたから


みらが知ってるはずもない。


大平まみ
大平まみ
ねぇ、どーする⁈もう始まっちゃう…。



と、みらと話してる時間もあるわけがなく、



《とりあえず体育館に行こう‼︎‼︎》



という考えを出して、


体育館に向かおうとした。


しかし、またもや男の人に呼び止められてしまった。




⁇
待て。
お前ら、大平まみと柏木みらだろ。
お前らはE組だ。
大平は5番、柏木は6番。
荷物は持っててやるから俺に渡せ。
わかったら、早く体育館に向かえよ。




急な男の人の情報に、




私とみらは一瞬ぽかんとしたが、


もう、その情報が嘘でも信じるしか


道はないと思い、



一言お礼を言い、


ダッシュで体育館に向かった。










まさかこの先いろんなことが
この彼と起きるということを



私はちっとも考えてはいなかったし、


誰も予想をしてはいなかっただろう。

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