『神野の件は自分も成長できたと思ってる』
『ずっとずっとお母さんを引きずって何十年生きてきて。家族に迷惑かけないように自分を隠してきた。
おでこの傷も黙ってれば弱い自分が出ないと思って黙ってきた。
でも。それを轟君が全部全部溶かしてくれたの。私のことを知りたいと言ってくれる人がいて、私を助けようとしてくれる人がいた。
だから、私は轟君の抱えてるものを溶かしたかった。』
そう言ってそっと火傷跡に触れる。
『.......私は君の心を溶かせたかな』
轟「.......あぁ。」
『.......ねぇ轟君』
轟「なんだ.......?」
『好きだよ』
驚いて目を見開く轟君。
ずっと待たせちゃったなぁ。
『私に告白してくれた時本当は私も好きだって伝えたかったの。だけどこんな自分がって思っちゃって』
『けど今なら自信もって言えるよ』
轟「涼水。」
『.......?』
轟「俺と付き合ってくれ」
『ッもちろん、!』
夕日が照らす中
私たちの影が重なった。
過去を忘れようとなんてしなくていい。
共に進んでいけばいい。
お父さん。お母さん。消ちゃん。
轟君。沢山の愛をありがとう___。
fin
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!