あの後、私は無事に退院して普通の生活をまた取り戻すことが出来た。
お父さんは相変わらず元気で心配性だけどそんな所も娘でよかったと心から思う。
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そして今下駄箱に入っている1枚の紙の文字を見て私は屋上に向かった。
"放課後屋上で待ってる"
宛名はなくとも誰かくらいは分かるよ?
ガチャっと屋上のドアを開けると
私が君を手当してあげたあの日と同じように座っている彼。
あの日よりも表情は柔らかいし
雰囲気もあたたかい。
何も言わずにそっと近づいて君の目の前に外んとしゃがむ。
轟「ッすず、み....ッ」
轟君は私を見るなり涙を流した始めた。
あれ、轟君そういうタイプじゃないでしょ。
『あれれ〜?泣いちゃった?』
ふわっと笑いながら轟君の頬をつたる涙を拭う。
轟「.......助けられなくて悪かった.....あの時、俺が手を伸ばしてれば......ッ」
『轟君。私は君に十分助けられたよ。』
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。