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第11話

.*ʚ♡ɞ*+゚🖤+*ʚ♡ɞ*.
108
2018/07/25 17:45
you
you
「あ!ねぇねぇ、グク!!」
そう声をかけたのは、あたしがなんだかんだ言いながらもこの広い部屋でくつろぎ始めた頃。

さっきの様子からしてグクが優しい返事をしてくれる。
グク
グク
「んだよ」
……と思ったのが間違いだった。

さっきの弱々しいグクはどこへ行ったのやら……。

まぁ、しょうがない。これがグクと諦めるのが早い。

そう思い、あたしは言葉を続ける。
you
you
「あたしさ、なんか誰かと間違われているみたい」
グク
グク
「はぁ?」
you
you
「だからね?なんか  ゛BLUEPRINCESS  ゛って人と間違われているみたいなんだってば!」
グク
グク
「あー……」
テテ
テテ
「グク、PRINCESSに話してねぇの?」
テテが言う。
you
you
「テテまで  ゛PRINCESS  ゛って言う〜。あなたでいいって!」
テテに既に馴染みまくりのあたし。

まぁ、それより。
you
you
「ねぇ、グ──…」
グク
グク
「多分お前には理解できねぇ」
あたしの言葉を遮ってグクが言う。
you
you
「なんで?」
グク
グク
「ばかだから」
……殺す!     コヤツ……!!

──ふっ。

……まぁまぁあなた。落ち着こう。
このくらいで苛々しちゃ、これから先やっていけないわ。

あたしは、大丈夫よ。
you
you
「それで?」
グク
グク
「できるだけわかるようには話す。わかんねぇとこは言え」
そうあたしが答えたのを合図に話が始まった。
グク
グク
「俺は今、黒龍の総長だ」
you
you
「……はい?」
グク
グク
「何がわかんねぇって?」
さっそく躓いたあたしに呆れた声で聞いてくる。
you
you
「全部……」
グク
グク
「………」
you
you
「………あ!まさか、あれ!?黒龍って黒烏龍茶の略!?え!?じゃあグクってイメージモデル!?総長ってイメージモデルのことなの!?」
興奮気味に話すあたしにもうどうしようもねぇコイツって感じで「常識をわきまえろ」と言う。

常識も何もわかんないんだからしょうがないじゃん!
自分がわかってるからってそんな態度ないじゃん!

そもそもあたしにできるだけわかるように話すっつったのお前じゃん!!

…──とわ言えないわけで。

そんなあたしに気づいたのか、
グク
グク
「あなた、暴走族ってわかるか?」
そう、急に優しく聞いてくる。
you
you
「うん」
グク
グク
「俺は黒龍っつー暴走族の総長だ」
you
you
「ぼ、暴走族!?  は!?   ちょ、ま!」
え!?      え!?

ええぇぇぇぇ!?

完全にパニックに陥ってるあたしに「落ち着けよ」と呆れた声でグクが言う。

それは無理だろう! 落ち着けるわけないだろう!!

落ち着けたら凄げぇわ!!

逆に凄げぇわ!! びっくりだわ!!
テテ
テテ
「でもそんなに凄いことしてるわけじゃないから。することっていったら喧嘩と走ることだけだからね」
とテテがあたしを宥めるように言う。

……が。

逆効果だろう!

それは逆効果だろう! 喧嘩の時点でダメだろう!

もっとパニックってるあたしにまたテテが、
テテ
テテ
「チームもそこまで大きいわけじゃないから、大丈夫だよ……。関東一大きいってだけで、関東制覇してるとかじゃないからね?」
と取り繕うように言う。

関東一の時点でもうダメだろう!

それを「大きいわけじゃないから」って!
you
you
「あ、あたし……帰る……」
もう全然ついていけなくて、力なくそう言った。

……けど……。どうやって帰ろうか?

あ! タクシー!! タクシー乗ろう!! そうだよ! タクシー……は無理だ。

歩いて帰るしかないしね!!

……っていっても道わかんないしね!!!

なんて考えていると、
グク
グク
「じゃあ俺も帰るわ」
ってグクが言ったから助かった……って思って素直に「ありがとう」って言おうって思ってたけど、「お前どうせ帰れねぇんだろ?ばかだしな」って言われたからやめた。

マジ、なんなの、コイツ!

マジ、ウザイんだけど!! マジ、ムカつくんだけど!!!

なんて思っててても言ったら置いてけぼりにされるのが関の山だからやめといた。
それからまた黒いセダンでグクと帰えった。

運転手さんに「ありがとうございました」って言ったら「いえいえ。当たり前のことですから」って言われた。

超律儀……。

すんごいいい人だ!!

そう思って「いえいえ」ってあたしが言ったら「早く降りろ、ばか。意味不明な言葉吐いてんじゃねぇよ」ってグクに言われて、すごいカチンとキたけど、おとなしく言うこと聞いてやった。
?
「おぉ、あなたちゃんか?」
車から降りた直後に、知らないおじさんにそう声をかけられる。

……え!?

何!? す、ストーカー!?

誘拐!? 誘拐されんの!?

グク!!──…は助けてくれそうにない。

既に家の鍵開けてるしね!

こっち見向きもしないしね!

超役立たずだしね!!

なんて思ってても、実際凄く怖い。

ホントに、怖い。

だんだん知らないおじさんが近づいてくる。

あぁ、もうダメだ。

そう思ってギュッと目をつむると、グクがため息をついて、
グク
グク
「親父、先に自分のこと名乗れよ」
と呆れたように言った。

……え……? 親……父って……。
you
you
「お、おじさん!?」
グクの親父
グクの親父
「久しぶりだね。昨日は出張だったんだよ。ごめんね」
紛らわしいな、おい!

てっきりストーカーだとか思ったし!!

誘拐されると本気で思ったし!!!

……ホントに、怖かった……。

実際あたしは誘拐もされたこともあるし、ストーカーされたことも何回もある。

……けど、やっぱり慣れない。何回経験しても怖い。
グク
グク
「親父、先に家ん中入ってろ」
そう、唐突にグクが言った。

そしておじさんが中に入っていくと、あたしを抱きしめて
グク
グク
「大丈夫だ」
と囁いた。
……わかってたんだ、グクは。

あたしが小さく震えていたことに。

グクのそうゆうところ、変わってない。

あたしのどんな変化にも気づいてくれる。

だからあたしは安心してんのかもしんない。

グクだったら……、って期待してんのかもしんない。

危ない時にグクを呼びたくなるのは。

寂しい時にグクを呼びたくなるのは。

そのせいかもしんない……。
you
you
「グク……もう、大丈夫」
あたしがそう言うまでグクはずっと抱きしめてくれていた。
グク
グク
「なんでも言えよ?」
you
you
「ん……」
それからあたし達は家の中に入って、おじさんとおばさんとあたしとグクの4人でおばさんが作ってくれていた晩ご飯に箸をつけた。
おばさん
おばさん
「あ、あなたちゃん。学校のことなんだけど、グクと同じところでいいかしら?っていってももう転入手続きはすませてるんだけど……」
それは晩ご飯の途中に言ったおばさんの言葉。
you
you
「全然大丈夫です」
グク
グク
「お前、学校にもそのピアスして行けよ」
you
you
「うん。ってゆーか、学校の名前なんて言うの?」
グク
グク
「ルチア学園」
you
you
「ルチア?」
グク
グク
「あぁ」
……なんか……。

すっごいお金持ちの学校みたい。

中途半端な時期の転校だけど、馴染めるかな〜。

友達できるといいな。

……なんて考えが甘かった。

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