思わずキレて──…しまったのが間違いだった。
え!? 何!?
そんなこともわからないキミの頭の方が大丈夫じゃないんじゃない?
……なんて言えるはずもなく、
笑って誤魔化すしかなかった。
そんな時、
1階からおばさんが呼んでいる。
助かった………。
舌打ちだぁ? てめぇ何様だよ!と言ってやりたいところだけど。
………──そんな勇気はないからとりあえず素直に返事した。
1階に下りたあたしの目の前にあるのはとても豪華な食事。
家族かぁ……。
そう言われて席に着く。
そしてあたしは1番に狙ってた唐揚げに箸をつけ──…るはずだったのに、無言のグクに先を越された。
こっちを見ながら嫌みったらしく言ってくる。
はぁぁぁん!?
なんだ!? やんのか!? やんのか!?
あたしが唐揚げ狙ってたの知ってて取りやがったな、この野郎!!!
なんて思っていても、
なんて言いながら凄まれると、
無理っぽい……。
…つーか、そんな風に言うんならもっと言い出しやすい雰囲気出せよ!
余計言えないし!
なんかそれだけっていうのも少し──…いや、かなりムカついて言い返そうと思ったけど、それ以上求めたら多分もっと後悔すると思ったからやめといた。
そして次にお肉に箸を伸ばし──…たはずだった。
……が。
またもやグクに取られた。
……なんだ、お前!
わざとか!? わざとなのか!?
そう思っているとグクがふっと勝ち誇ったような笑みを向けてきた。
……超殺意!!!
許さん! 絶対許さん!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!