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第4話

04. 家
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2018/09/30 11:34
「…じゃあ、家帰るから」

海『家?』

「だって寝る場所無いし…」

海『あなたちゃん家あるの?』

「…ないの?」

海『俺たちはここが家だよ。』

「ならあるじゃん…」

海『でもさ、あなたちゃんには本当の家があ

るような感じはしないけど?』

「は…?」

海『形としてはあるけど、それは本当の家じゃ

ない。違う?』

確かにそうだ。

私に家なんかない。いや、あるけど無い。

家に帰れば奮われる暴 力と暴 言。

こんなに居心地の悪い家は、本当の家とは呼ば

ないのかもしれない。

岩『こら、海人。いじめないの。』

岸『部屋貸してあげるから、使っていいよ。こ

れからも。』

「何言って…」

紫『俺たち家族になろうよ。』

「えっと…つまりさっき見たいな事をしろ

と…」

廉『見とくだけでええで。ま、詳しいことは明

日な。おやすみ』

「…おやすみなさい」

家族…か。

1人じゃ広すぎる部屋で考える。

家族ってなに…?今まで家族が居たはずなの

に…わからない。

本当の家族って?家って?

気づけば私の頬には、涙が伝っていた。

元々わたしには、家族なんて…居なかったのか

もしれない。家なんて無かったのかもしれな

い…。

神宮寺と紫耀くんと廉くんが何をしたのかは

知らない。知らなくていい。

優しい神宮寺くんと紫耀くんと廉くんのままで

いい。

明日真実がわかる。

耳を塞いでおこうか、それとも逃げ出すか。

答えはどちらでもない。

真実を聞くしかないんだ…。

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