第11話

着信
73
2018/08/22 17:11
あれから数日、学校ですれ違っても気まずくて目を合わせられなかった。
あーあ、嫌われたくなかったなぁ。でもこれも、自分のせい。

最近、東條くんのことを考えてばかりだ。
[プルルル、プルルル]
私(榎本 さやか)
え、東條くん…!?
突然の電話だった。
私(榎本 さやか)
もしもし。
東條くん
あ、もしもし。ごめんね、急に。
私(榎本 さやか)
ううん、いいの…何か用?
東條くん
榎本さん、今時間ある?
私(榎本 さやか)
うん、大丈夫。
電話越しに、深呼吸しているのが聞こえる。
東條くん
榎本さんのことが好きです。
驚いて言葉も出なかった。
東條くん
今回のこともそうだけど、榎本さんって感情を表に出すタイプだと思うんだよね。だからきっと、こうやってぶつかることも多いんじゃないかな。
私(榎本 さやか)
え、うん、確かにそうかも…。
東條くん
おれは、嬉しかったし、そういうところ、かわいいなって思ったよ。
かわいい?嬉しい?どこがどう繋がったらそうなるのか分からなかった。
私(榎本 さやか)
え、どういうことよ笑
東條くん
だってそれって、人と本気で向き合ってる証拠でしょ?そんな榎本さんの隣にいて、僕はもっと榎本さんの笑顔が見たいって思った。
だからこんなに真剣に相談にも乗ろうと思ったんだと思う。
とても、とても嬉しかった。
自分の短所だと思っていたことを、東條くんは全力で受け止めてくれていたんだ。
考えてみればここ数日、先輩のことなんかより、東條くんのことばかり考えていたじゃないか。
私(榎本 さやか)
あの、東條くん!公園来て!今から!
東條くん
え、ええ!?
私(榎本 さやか)
いいから、はやく!

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