季節は巡り、高二の夏が来た。
このまま立ち直れかったらどうしよう、そう思っていたけれど、本当にこんなに引きずるとは思っていなかった。
部活終わり、じめじめした夏の空気に包まれて、学校から駅まで一人で歩いた。
電車の中は涼しくて気持ちよかった。
一人の時間に浸れるこの時間が、私は好きだった。
いつも通りスマホを開いて、一通りSNSを巡回する。
【プロフィール画像を更新しました】
―血の気が引くようだった。先輩のアイコンが変わっていた。
知らない女の子と、二人で手を繋いでいる先輩の写真。
そうか。あんなにかっこいい先輩のことだ。
彼女が出来ないわけがないじゃないか。第一、もう私には関係ない、関係ないこと、だから…
だめだめだめ、電車の中なのに…。
目的の駅に着くまで、必死に涙をこらえようとした。それでも溢れて止まらなかった。
駅について地上に上がった瞬間、我慢していた分の涙がまた溢れてくる。
それなりに人気のある道だったから、一旦ビルの隅っこに入って落ち着こうと思って、横断歩道の手前で引き返した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。