第4話

面影
145
2018/08/22 17:02
季節は巡り、高二の夏が来た。

このまま立ち直れかったらどうしよう、そう思っていたけれど、本当にこんなに引きずるとは思っていなかった。
部活終わり、じめじめした夏の空気に包まれて、学校から駅まで一人で歩いた。
電車の中は涼しくて気持ちよかった。
一人の時間に浸れるこの時間が、私は好きだった。
いつも通りスマホを開いて、一通りSNSを巡回する。


【プロフィール画像を更新しました】
―血の気が引くようだった。先輩のアイコンが変わっていた。


知らない女の子と、二人で手を繋いでいる先輩の写真。
そうか。あんなにかっこいい先輩のことだ。
彼女が出来ないわけがないじゃないか。第一、もう私には関係ない、関係ないこと、だから…
私(榎本 さやか)
うっ…ううっ……ぐすっ
だめだめだめ、電車の中なのに…。
目的の駅に着くまで、必死に涙をこらえようとした。それでも溢れて止まらなかった。
駅について地上に上がった瞬間、我慢していた分の涙がまた溢れてくる。

それなりに人気のある道だったから、一旦ビルの隅っこに入って落ち着こうと思って、横断歩道の手前で引き返した。
東條くん
あの、榎本さん…?大丈夫?
私(榎本 さやか)
えっ…ああ!

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