「そういえば、この前の小説は真辺くんの担当になるんだよね?」
「はい、そこまでは。」
なんか安心する。真辺くんのアドバイスとかも取り入れたし。
「あの…そろそろタメでいいですか?」
あ…そうだった。敬語は堅苦しいよね…
「うん!あと、先生なんて呼ばなくていいから…」
「分かった、あなた。」
あなたーー!?ヤバい…
「照れてんの?」
ああーーーー!!
「大樹って呼んでよ。」
「だ、だ、大樹…?」
「何で疑問系?」
「だ、大樹…」
「ふっ。笑笑」
「ちょっと!何で笑うのーー!?」
っていうか、さっきなんか人の気配が……ま、気のせいか。
「可愛いから。」
「(は、恥ずかしい)////」
「また顔赤くなってる。笑」
「もう…」
だ、大樹といると心臓持たなくなりそうだよ…
「ついた。ここが俺の家。」
俺…?大樹が俺っていうの初めて聞いたかも。
築何年だろ?10年ぐらいかな。
まあまあ綺麗な2階建てのアパートだった。
「俺の家は、2階。部屋、汚いから。」
そういって家に入ると、なんか
”The 男の部屋” って感じ。
洗濯物は干してるけど、乾いたのはかごの中でぐしゃぐしゃ。
テーブルの上は郵便物が散乱している。キッチンは綺麗に片付けられていた。
「キッチンは綺麗なんだね。」
「まあね。あんま使わないし、月1で母さん来てて。」
「へぇー!」
「ねぇ、片付けようか?」
「マジで?いいの?」
「うん。」
~片付け終了~
「綺麗になった!ありがと!」
「どういたしまして。」
すると、大樹は何かを取ってきた。
「はいっ!」
「ん?」
大樹の手に握られていたのは、”鍵”だった。
「早いって思われるかもだけど、俺はあなたのこと信じてるから。」
「うん、ありがとう。料理作ったりしてていいの?」
少し夢だった。料理を彼氏の家で作ることが。
「いいよ。帰るの楽しみになるかも。あ、でもLINEしてね?飲み会の日とかあるから。」
そうだよね。忙しいよね…頻度は考えとかないと。
「分かった。」
「さあ、夜ご飯どうする?」
「作るよ?」
いきなりだから引かれるかな。
「じゃあ、よろしく。あるもの何でも使っていいから。」
「うん。」
綺麗に片付けられているキッチンに来て、冷蔵庫の中やあるものをチェックする。
人参にじゃがいも、玉ねぎが見つかった。これは…あれしかない!カレー粉を探すと、中辛があった。
よし、これで作れる!
っていうか、これしか作れない!!
「出来たよー!」
「おお!カレー!?」
「うん。ほら、編集者ってさ、忙しいだろうし…カレーだったら明日でも食べれるかなって。」
「マジで?ありがと。」
その後、大樹は美味しいと食べてくれた。
「片付けはいいよ?俺するから。」
「いいよ。忙しいでしょ?それに、料理は片付け含めてだから。」
「ありがと。」
”ギュッ”
何これ!バックハグっていうやつか!
「ちょ、ちょっと…どうしたの?」
「ダメ?」
ダメなわけないけど…心臓が…ヤバいんです。
「ううん。でも、少し洗いにくいかな。」
「分かった。笑」
「うん。笑」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。