「じゃ、もうそろそろ寝よーか。」
「うん!!」
「おやすみ。」
「おやすみ!」
朝
「キャッ!!」
”ドンッ”
いったぁ!!
「あなた?大丈夫?」
「う、うん……って!!誰のせいで落ちたと思ってんのよ!!」
「あー、ごめんな。」
だ、だって…!!
目を覚ましたら、大樹の顔が目の前にあったんだもん!
そりゃ、ビックリするよ!!もう!怒
「はい」
そういって、大樹は手を差し出してくれた。
もう……こんなことされたら許しちゃうじゃん!
「……」
「何?怒ってる?」
「怒って……ない。」
はぁ……もう、心臓止まるかと思った……
それから私たちは朝食を食べて、ホテルを出た。今はお土産の専門店にいる。
侑香里にはいつも貰ってばかりだから、たまには買ってみよう。
「あっ!!」
これ、美味しそう。侑香里も好きそうだな。
「これ買うの?」
「あ、うん。友達にね。いつも出張のお土産を貰ってばかりだから……」
「そっか。じゃあ、俺も買おうかな。」
「うん。」
あ、お母さんにも買っておこう。大樹はいいのかな。
「お義母さんには買わなくていいの?」
「あぁ、買っておこうかな。」
お母さんには小さな箱にたくさんの種類のお菓子が入っているものを買った。
そして、二人でお揃いのキーホルダーを買い、写真を撮った。
「もうそろそろ時間じゃない?」
「じゃあ行くか。」
「うん。」
私たちは新幹線に乗った。
「そういえばさ、あなたのお母さんに会いに行かないとね。」
そっか。私は大樹のお母さんに何回も会ってるけど、大樹は私のお母さんに会ってないもんね。
「そうだね。」
「お父さんってどんな人?」
「優しい人、だったよ。」
「だった……って?」
そう。
「うん。私がまだ高校生の頃。事故でね。」
「そうだったんだ。ごめん。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。