あれから数日後
”ピロン”
『あなたー!!』
『元気にしてるー?東京のお土産渡したいなって思ってんだけど、今日空いてるー?』
お土産か…
今日は比較的何もないし、いいか。
『空いてるよー!』
『じゃ、いつものとこで2時に待ってるー!』
『はーい!』
いつものとこっていうのは、古びた居酒屋なんだけど、なんか落ち着くんだよね。
侑香里とはいつもそこで会うことが多い。
侑香里の合コン話を聞いたりもしてるんだけど。
準備をし、歩いてその店へ向かう。
ついたときは1時57分。
あと3分……だけど、侑香里のことだからあと13分かな。
「あなた!!」
「ゆ、ゆ、侑香里!?」
え?ど、どうして……!?
「何でそんな驚いてんの?笑」
「だ、だって、いつもは約束より10分も遅れてくるくせに!」
「あー、そーゆうこと。」
ほんっと、びっくりさせないでよー!
っていうか、今日はまた一段と、侑香里のテンションが高い……?気がする。
まあ、いつも高いんだけど。
「あっ、これお土産~!!」
「うん、いつもありがとねー。」
侑香里は出張が多いから、お土産をもらうのももう何回目だろう。
「本当にもういいのに……」
「いいのいいの!!」
あ、そーいえば、侑香里に大樹のこと話してなかった。
「あ、あのね!」
「じ、実は!!」
え!?
「あー、ごめんごめん。あなたからいいよ。」
「いい、いい!侑香里から!」
「え?あ、うん。」
何だろ。
珍しく侑香里が何か照れてる?
「実はね、東京で昔の同級生と会って……付き合うことになりました!!」
え、え、えーーーーーーーー!?
「そ、そうなの!?よ、よかったじゃん!!」
本当に良かったよぉーーー!!
「で?あなたは?」
「あ……私ね、編集者の人が変わって…その…前の編集者の人と付き合うことになりました……」
ゆ、侑香里……!?
フリーズしてるよ!?
「ゆ!か!り!?」
「えっ?あぁ、ごめん。衝撃すぎて……!!」
そう…だよね。
「まあ、でも二人とも相手が見つかったってことで、祝福!!乾杯しよ~!」
「うん!」
昼間っからビールを頼み……
「幸せになろーー!!かんぱーい!!」
「かんぱーい!」
んーー!
おいしい!!
やっぱ、ビール最高だわ。
それからお互いの彼の話をして、家に帰った。
”ピコンッ”
大樹かな!?
『宮原です。明日、打ち合わせがあるので、13:30に○○カフェで待ってます。』
宮原さんか…
打ち合わせ……もう大樹じゃないんだよね。
『分かりました。』
『よろしくお願いします。』
『はい。』
ふぅ。
もうだいぶ飲んだし、お風呂入って寝よっと!!
”ピコンッ”
誰だろう?
……だ、大樹っ!!
『今度、長期休暇が入った。どっか旅行とか行かない?』
り、旅行!?
やったー!!行きたい!!!!
『うん!絶対行きたい!!』
『じゃあ、行きたいところある?』
行きたいところかぁ~。
『大樹と行けるなら私はどこでもいいよ👌』
『分かった。色々考えとく。』
『楽しみにしてるね。』
『じゃ、また。』
『はーい。』
ふう!!楽しみーーーー!!!!
私はウキウキで眠った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。