第18話

2年前
113
2019/10/03 09:57
私は浅田博也という男と結婚を前提に付き合っていた。


「あなた、結婚しよう。」


そうプロポーズをされた。

私は”はい”と返事をした。


そのとき、私はあんなことになるなんて知るよしもなかった。



プロポーズを受けて3日後



『ごめん。急な仕事入っちゃって…本当ごめんな。』


待ち合わせ場所で10分ほど待っていると、彼からメールが届いた。


”急な仕事”


しょうがないよね。彼の仕事はサービス業だし、休みの日もあまりあわない。


私は目的がなければ、家で過ごす。

その日もそのまま家に帰ろうとしたが、たまにはと思い、普段は行かないショッピングモールへ向かった。


おしゃれな婦人服がある店に入る。

彼はどんな服が好みなんだろう…

今度、両家の挨拶もあるし、服を買っていこう。そう思い、服を選んでいた。


このとき、私は幸せの絶頂だと感じて。



「ねーねー、これは?似合ってるぅ~?」


「うん!すっごく可愛い。」


ラブラブなんだな。

あ、私もあんな風に選んでもらえるかな。


「ねー、いい加減さ、遊びの女切ったらぁ?」


え…?


「そーだな。俺の本命はお前だけだから。」


最低…じゃん。

遊びの女って…騙して遊んでるの?クズじゃん。


「ふふっ!」


あの女も最低だね。


「この前な、あなたってやつにプロポーズしたの。あの使い回してる指輪で。笑」


あなた…?同じ名前だ。

可哀想、そのあなたさん。私はこんなにも幸せなのに。


「マジでぇ?騙されたんだぁ!笑」


「そーそー。で、めっちゃ浮かれてて。
両家の挨拶しないとね!とか、ウェディングドレス見に行きたい!とかうるせーんだよ。笑」


「やっばぁ!重~!!」


「誰があんなたかが派遣社員の可愛くもなく、愛想もなく、スタイルもよくないあんな奴と結婚するかっつーの!笑笑」


「だねー!」


…博也?じゃないよね……?


私は、博也に小説家とは言わず、派遣社員と言っている。


恐る恐るあの二人に近づく。


お願い、博也じゃないよね?



…目が合う。



博也と。


「あなた…!?」


「えっ、あの人?」


もういいや。こんな最低な奴。



”バチッ”


思いっきり、ビンタしてやった。


「最っ低!ばかっ!!地獄にでも落ちろっ!!」


私は全力で走った。たくさんの人の視線を感じながら。


きっと、あの二人は今頃私を笑っている。


私、見る目なかったな…



それから、博也とは会っていない。

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