あの日からもう一年近くたつのだろうか。
きっと何年たっても忘れられそうにない出来事。
昴さんと出会った日なのだから。
その日の私はいつもの数倍は疲れ切っていた。
不運が不運を呼び、ドミノ倒しかのように連続で起きるトラブル。
その一言が私をきつく縛る。
わかってる、わかってるよ。
その仕事、私じゃなくてもできるけど。
うんわかったよ、私頑張るね。
私、生徒会長なんでやります。
むちゃだって分かっている量の仕事、引き受けて。
前回できたんだから今回もできるでしょう?
なんて言われて、雑務は減るどころか増える一方。
正直、限界が頭の端でちらついてた。
ぽつんと私のつぶやきにかぶさるようにして、最終下校のチャイムが鳴る。
部活には入っていないはずなのに、いつも時間ぎりぎりまで学校に残る毎日。
昇降口で幼馴染の凛斗とばったり遭遇。
彼はなんだかんだ私の味方でいてくれる優しい人だ。
疲れからかいつもの余裕がなくて、つい素がこぼれる。
こんなにへとへとになってでも私は必要とされていたいから。
今日も、明日も、明後日も、生徒会長として頑張るの。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。