第3話

くもりのち晴れ3
54
2019/04/14 10:48
あの日からもう一年近くたつのだろうか。
きっと何年たっても忘れられそうにない出来事。
昴さんと出会った日なのだから。
その日の私はいつもの数倍は疲れ切っていた。
不運が不運を呼び、ドミノ倒しかのように連続で起きるトラブル。
生徒1
あなたちゃんは生徒会長だもんね?
その一言が私をきつく縛る。
わかってる、わかってるよ。
その仕事、私じゃなくてもできるけど。
あなた

生徒会長だから、私がやるね

生徒1
あ、そっかあなたさん生徒会長だもんね、じゃあよろしく
うんわかったよ、私頑張るね。
先生
あ、会長さん、これよろしくね
あなた

はい、先生。任せてください

先生
あれ、こんなこともあなたやってるの? 誰かに手伝って……
あなた

あ、いいんですよ先生

私、生徒会長なんでやります。
むちゃだって分かっている量の仕事、引き受けて。
前回できたんだから今回もできるでしょう?
なんて言われて、雑務は減るどころか増える一方。
正直、限界が頭の端でちらついてた。
あなた

……終わった

ぽつんと私のつぶやきにかぶさるようにして、最終下校のチャイムが鳴る。
部活には入っていないはずなのに、いつも時間ぎりぎりまで学校に残る毎日。
凛斗
あ、あなた。今日もおつかれさん
あなた

凛斗……?

昇降口で幼馴染の凛斗とばったり遭遇。
彼はなんだかんだ私の味方でいてくれる優しい人だ。
凛斗
ごめん、今日一緒に帰れないや、先輩の手伝いして片付けしないとだから
あなた

……何言ってるの? 今日はじゃなくてもいつも別に一緒じゃなでしょ

凛斗
おーなんかいつもより言葉の刃が澄み切ってるじゃん。疲れてんの?
あなた

うるさい

疲れからかいつもの余裕がなくて、つい素がこぼれる。
凛斗
よしよし、おまえ普段からちょっとは肩の力抜けって
あなた

それができれば苦労しないの。じゃあね

こんなにへとへとになってでも私は必要とされていたいから。
今日も、明日も、明後日も、生徒会長として頑張るの。

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