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第4話

刹那
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2018/05/24 05:04



side*刹那


ねぇちゃんは俺の事をただの弟にしか思ってなかった…


俺はそれが酷くショックだった。


だって俺はこんなにもねぇちゃんが好きなのにな…




他の奴と話してる姿は
見てるだけで気が狂いそうなくらい


俺だけを見てよ


俺だけを頼ってよ


俺だけに笑ってよ



いつからこんな感情を抱くようになったのか分からない。



俺は狂っているのか…?


俺は異常なのか…?



って、そんな事なんて 
考えてたらきりがない 


俺はねぇちゃんと一緒にいたいだけ。









【一緒にいたいだけ】











そんな気持ちが一気に溢れ出し

ねぇちゃんに意地悪な事を言った。


「俺の事をどう思ってんの?」



って。





その言葉を聞いた
ねぇちゃんの表情は





とても美しかったんだ


 


瞳を揺らせながら困った顔をして。





俺はどこか期待していた

ねぇちゃんは俺の事をどう思ってるのかって。


昔みたいに好きだよ。って答えてくれそうな気がしたけど……。




それは俺の勘違いで。






期待は脆くも崩れ落ちる






「ど…どうって…刹那は私の…弟でしょ…?」




あれ…何言ってるの…?


何でそんな事を言うの?  



俺の求めた気持ちとは違う…



 
そんな筈ないよね!?


ねぇちゃんに限ってそれは有り得ないよね!?








「それだけ?他はないの?」






「……?」







何で…





何で黙ってるの…!?



「…分からないの?
俺はねぇちゃんの"弟"ってだけ?
特別な感情とかはないの!?
愛してる。とか、ずっと一緒にいたい。とか、俺の事を求めないの!?
ねぇちゃんのその考え、だだの姉弟にでも出来るよ。俺はね、ねぇちゃんが大好きなんだよ。


ずっと一緒にいたいと思ってる



…だけど、そーゆーのを考えてたのって俺だけだったんだね
てっきりねぇちゃんも同じ事を想ってるのかと思ったけど……違ったんだね」








最悪だ。


本当、ねぇちゃんは無自覚に

俺を傷付ける

  



心が痛いよ…。  







俺は唇を噛み締めながら
その場を立ち去る




こんな最悪な気分になるなんてな



……ねぇちゃんはきっと今の俺の痛みなんて分からないんだ
  



俺がどれだけ傷付いたのか。



ねぇちゃんにも、その痛みを
分からせないといけないよね…?




狂ってるって言うのならば
それは間違いだと思う。

俺はただ、ねぇちゃんが好きなんだ


そんな想いを抱きながら俺は学校へと
足を運んだのだった。



         END*刹那




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