居ない。
先程まで居た彼の姿が見当たらない。目で追って居たのはほんの数分前の筈なのにこれだから目を離すと…、なんてのは言い訳で有りきょろきょろ辺りを見回すが居る様子は無く、気が付けば外へと飛び出していた。
彼は休憩室に居た。窓に顔を背けて居るので顔がよくわからない。だが、その背中には何やら哀愁が漂うと言うかなんと言うか、話し掛けてはいけないんじゃ無いかと言う雰囲気であり放って置こうとその場を立ち去ろうとする。すると、傍に置いて有った小道具に足を引っ掛けて音を立ててしまった。
彼の一際低い声に思わず身体がびくりと反応する。そろりと目を開けると普段通りの顔で此方を見てくる彼に内心ホッとして、さも今来た風を装い言葉を発する。
と、一瞬戸惑いの色を見せてしまったも、上手く顔を歪ませられているだろうか。
矢張り目敏い先輩は気付いて仕舞ったらしい。ふと徐ろに顔を向けるとクシャりと俺よりも顔を歪ませて何処か遠くを見詰めて居た。
指摘する様に貴方に上記を放つ。
驚いた顔をする相手に此方までドギマギしてしまう。ふと吸殻の後を見ると凄い量の殻が有り、思わず
なんて質問責めしてしまった。相手も驚いたらしく
なんてへらへらして来る。その顔にキュウっと切なく鳴る自身の心臓を抑えつつぼんやりと言い訳をする相手の話を聞いていた。
と、その場に居る言い訳を呟けばヘルメットをその場に置き煙草を1つ取り出す。
反応が遅れる様子を見て、嫌なのかな…なんて柄にもなくそんな事を思いながらもライターを取り出し付けようとして。すると此方を見つめて来る先輩。気にしない様にするも手元が狂って仕方無く、又何処か緊張してしまう自分が居る。
声が震えて仕舞ったがちゃんと言いたいことは伝えられたと思う。
軽い調子で謝ると顔は自身の方向ではなく外を向き、ホッと一安心する。そして再びライターを付けようとするが生憎中身が切れて無く成って仕舞った様で、『チッ』と思わず舌打ちが漏れてしまった。やべ、っと思った時には不思議そうに此方を見詰めるコネシマさんと目が合い
なんて、聞かれてしまった。
気まずそうな表情を浮かべて目を逸らせば先輩のを借りようと
と口を開いて居る最中に
声を遮られ、自身の煙草にコネシマさんの煙草をくっ付け火をつけ様として居る様子が目に映った。所謂シガーキス、と言う奴だ。ほぼゼロ距離に居る想い人の身体に硬直状態で理解するのには
間抜けた声が出て、正気に戻った後だった。もう既に煙草に火は着いて居て
と、無邪気に微笑んでくる。
一方の俺はと言うと顔を紅く染め下を向いて居た。
彼が声を掛けてくれる。自身の顔が染め上がってるのを忘れた俺は顔を上げて仕舞った。
心臓の音がうるさくて重なる声が聞こえなかった。
✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃
同時進行で進めていたショッピ視点出来ました!
あーーー、ホモれ(ちがう)
前回も言いましたが!次でエンド!の予定です……。ぼちぼちと頑張っていくので気長に待っていてくだされば嬉しいおすです~~!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。