第5話

太陽と月kn.syp.
4,926
2019/05/09 10:00
昨夜から何だかイライラが止まらない。無性に胸が苦しくなったり、早くなる動機に驚きつつも、理由が何故だか分からない以上、頼ることも出来ず不安と多少の畏怖で夜しか眠れない。お陰でこの有様だ。最近だとあまり吸う機会の減った筈の煙草が欠かせず昨日からずっと吸って居る。
こねしま
こねしま
やべ煙草、鞄の中に忘れて来たわ。
なんて独り言を呟けば部屋へと彷徨い着きゴソゴソを探し出す。手に取った煙草をやはり気が付くと口に1本咥えて居り、折角だからと窓辺へ移動し、スパスパと吸い始める。
こねしま
こねしま
…ふぅ、
今朝、周りに『シッマ、怖いわぁw』『最近疲れてるんちゃうか?』なんて、普段なら弄られる所なのだが声を掛けられ無意識だったのを思い出しあれは失敗遣ったなぁ、と耽て居るとカタリと物音が不意に背後から聞こえる。
こねしま
こねしま
あ?
と、一段と低い声で振り返ると
ふとそこに居たのは気に掛けている、紫色の後輩であった。
しょっぴ
しょっぴ
えッ、…げ、…コネシマさん、
こねしま
こねしま
何で言い直すん??
ふと驚いた声を出したかと思えば、嫌そうな声を次に出す。そこまで嫌がらんでも良いやないか、と言わんばかりに精一杯の笑顔で貴方の方へ顔を向ける。
しょっぴ
しょっぴ
…酷い顔してますよ、
こねしま
こねしま
うぇ?マジでか、
苦虫を潰した顔をする後輩に
またもや怖い顔をしていたのかと、自身でも困惑の色を隠せずに上記を述べる。
しょっぴ
しょっぴ
本当に気付かんかったんスか。
ふわりと微笑む彼にどきりと何か衝撃が走った。よく分からない感情に再び苛立ちが湧き上がる。するとまた声を掛けられる、今日の彼は機嫌がいいらしい。
しょっぴ
しょっぴ
え、…その量、一気に吸ったんですか。
ふと手元を見ると大量の吸殻と共にさっきまで沢山入って居た筈の煙草が残り1本に成って居る。
こねしま
こねしま
うおっ、無意識やったわ…。
しょっぴ
しょっぴ
重症じゃ無いですか。
と今度は呆れた様に此方を見つめて来る。
こねしま
こねしま
はは、いやぁこの頃煙草が手元から離れてくれへんのや。
『へぇ……』なんて、疑心暗鬼で様子を伺わられれば何もかも見透かされ居る気分になり目を再び外へと向ければ
しょっぴ
しょっぴ
俺も吸います。
こねしま
こねしま
お、おう。
と隣で煙草を取り出す。近くでこの後輩を見るのは久しく、少し伸びた前髪や普段はヘルメットで見えることの無い眉毛をじっと見詰める。
しょっぴ
しょっぴ
そ、んなに見つめられると…照れるんですけど。
言葉が詰まった様に話す様子から困っているのが目に取れ直ぐに謝る。
こねしま
こねしま
お?済まん済まん(笑)
軽い調子で謝ると完全に無意識であった自身の身体を再び窓に向ける。すると、隣から舌打ちが聞こえ自分が気分を悪くさせたのでは無いかと其方を向けば
こねしま
こねしま
如何したん?
とさり気無く聞き詰める。
しょっぴ
しょっぴ
いや、ライターが切れてたんで、
…さっせん。
分が悪そうに目を逸らす相手を見てこの前遣って居た煙草をくっ付けて火を付ければ吃驚して喜んでくれるのでは無いかと、まぁ何とも御気楽な考えで言葉を発する相手を気にも止めず
こねしま
こねしま
ん、じっとしてや。
なんて伏し目がちに彼へと近付く。
しょっぴ
しょっぴ
は、
ワンテンポ遅れ、腑抜けた声を出す貴方から離れれば
こねしま
こねしま
これ、ドラマで観たんやけど1度遣ってみたかってん!
と予想以上に気恥しい行為なのに気付き、照れ隠しのつもりでニカっと笑う。
しょっぴ
しょっぴ
っ、……//
下を向く貴方が如何したのかと身体を屈めて顔を覗き込む。
こねしま
こねしま
ショッピ君?如何したんや、
その時、噴照した彼とバチりと目が合った。
こねしま
こねしま
え、?
蝉の声がうるさくて重なる音が聞こえなかった。
✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃

コネシマ視点です!いやぁ!長なったなぁ!
次のはショッピ視点のやつです。その次はいよいよエンドです!!悩んだ結果トゥルーエンドとして公開することにしました!その後に希望があればハッピーやバットも書こうかなー、とぼちぼち思ってます!

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