秘密基地の外は激しい雨と、大きな雷が鳴り響いていた。
悟と私が帰るのを渋ると大きな雷が落ちた。
ここが日本一雷が落ちる町とはいえ、こんな大きな雷は苦手で、隣にいた篤の腕を掴んだ。
大きな雷の後に、秘密基地の中の物がカタカタと揺れだして、物が落ちていく。
ーパリンッ
大きな音を立てて電球が割れると、灯りを失った部屋の中は真っ暗になった。
幼い頃、暗い部屋に閉じ込められたときから暗闇は苦手で、突然真っ暗になった部屋で思わずしゃがみこんだ。
暗闇の中手探りでしゃがみ込んだ私の位置を確かめると、篤は頭をポンポンと撫でるから、私は少しだけ落ち着きを取り戻した。
篤は私の髪が逆だっていることに気づくと、自分の髪にも手を伸ばして驚きの声を発した。
それから、一瞬だけ。
外の雨も雷も全てが止まって、その直後に来た大きな雷と衝撃で私たちは吹き飛ばされた。
私は篤に守ってもらいながら、クッションの上に飛ばされたから怪我をすることもなかった。
悟の言葉で耳をすませると、たしかに扉の向こうから足音のようなものが聞こえる。
異様な雰囲気に、私たちはそれぞれ隠れてその足音の正体を待った。
大きな音と共に開いたドアの向こうには、銃を持ったような男の人のシルエットが映し出した。
恐怖で声を挙げそうになった私の口を、一緒に隠れていた篤が抑える。
一歩一歩近づくその人影は、秘密基地の中でロウソクに火を付けて辺りを見回したときだった。
ロウソクを消して竜二に銃を向ける人影。
驚きのあまり声を上げてしまった私の手を取って、篤はソファの後ろへ隠れる。
そこには悟と、反対側から逃げてきた竜二もいて、必死に身体を小さくした。
竜二が荷物を投げつけて、一気に逃げ出すけどみんな瞬時に捕まって気を失っていく。
みんな倒れて行く中、私が声を上げると人影は私に向けて上げていた手を下ろして入口のドアを閉めた。
倒れて気を失っているみんなの傍で、ただただ泣きじゃくることしか出来なかったんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。