朝から明菜の動画でクラスのみんなの話題はひとつ。
英語の近藤と、由真が不倫しているって話。
竜二もかなり落ち込んでて、私たちはベランダで竜二を慰めていた。
肩に手を置くけど、篤がかける言葉が見つからないほど落ち込んだ竜二は由真のハンカチを握りしめて涙をこらえていた。
@秘密基地
もちろん迷惑なんてかけられてない。
だけど、和彦ががっかりした気持ちすごく分かる。
三平さんの言葉は重く、私たちの心に響いた。
@数日後
校門で由真を待っていた竜二は、借りていたハンカチを返して、そっと腕を広げた。
一歩、竜二に近づいた由真に目を閉じると、由真は華麗に竜二を避けて歩き去っていった。
その場に倒れ込む竜二を離れた所から3人で見つめていた私たち。
堤防から飛び降りて竜二に駆け寄る。
地面に仰向けで倒れた竜二は相当由真が好きだったんだなって思えて、こんだけ想われる由真が少し羨ましかった。
4人で歩き出す道のり。
少しでも元気付けようと笑っている私たちは本当に仲間だって思えたんだ。
私は振り返ると、由真に声をかけて大きく手を振る。
由真も笑って私に大きく手を振り返した。
きっとこれも夏のいい思い出なんだと、竜二も笑って話せる時が来るんだって、そう思った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。