第36話

歌姫と財前の関係
3,425
2020/09/18 11:00
翌日@富室高校
春日篤
春日篤
はい、到着
あなた

今日もありがと♡

春日篤
春日篤
どういたしまして

動画が出回る前みたいに篤のバイクの後ろに乗って登校すると、周りがザワついた。
女子
えっ、あの二人って・・・
女子
二股だったのにまだ付き合ってんの?
女子
他の男いるのにあの笑顔でバイク乗る?
山名彩香
山名彩香
・・・

口々に囁かれる私たちの話。
放送部が作ったありもしない噂話でこんなにも踊らされてバカみたい。

春日篤
春日篤
行こう
あなた

うんっ!

そんな声なんて聞こえないみたいに篤は私の手を引いて校舎へと入った。

風間竜二
風間竜二
よっ!二股カップル!
あなた

もうっ!竜二ー!!

風間竜二
風間竜二
冗談だって(笑)
あなた

許さんっ!!(笑)

風間竜二
風間竜二
うわっ、待てって(笑)
あなた

うるさーいっ!

春日篤
春日篤
転ぶなよ(笑)
私は逃げる竜二を追いかけながら教室へと入った。

あなた

おらっ、捕まえたぁ!!

風間竜二
風間竜二
だぁー、だからわりーってば(笑)
あなた

竜二、いちごオレおごれー!!(笑)

風間竜二
風間竜二
分かった!分かったから(笑)
春日篤
春日篤
はい、おふざけ終わり。ほら

篤が指さす方には教室でひとり、曲を作っている沙織。
そういえば昨日、沙織に聞かなきゃいけないことが出来たんだった。
風間竜二
風間竜二
ようっ
あなた

沙織?

私たちに気づかない沙織に、篤は机を叩いて知らせた。
伊藤沙織
伊藤沙織
なに?
風間竜二
風間竜二
この間のお前のライブなんだけどさ・・・これ!
伊藤沙織
伊藤沙織
財前!
風間竜二
風間竜二
そ!歩いてここ来てたんだよ。
Theアルキーで!
春日篤
春日篤
なんで財前が来てるの?
伊藤沙織
伊藤沙織
アイツのこと歌にしたからかな?
風間竜二
風間竜二
えっ!
あなた

そんな歌あったの?

伊藤沙織
伊藤沙織
ダイビングボーイって曲なんだけど
風間竜二
風間竜二
いや、それはちょっと・・・
伊藤沙織
伊藤沙織
なに?
風間竜二
風間竜二
ま、まぁ・・・不謹慎っつーか
伊藤沙織
伊藤沙織
あのさぁー、音楽舐めないでくれる?
風間竜二
風間竜二
は?
伊藤沙織
伊藤沙織
そういうアンタッチャブルなところに切り込むのがミュージシャンの仕事だから!あんた達の尺度で測らないでよ。
風間竜二
風間竜二
あ゛ぁん?
女子
沙織!
女子
動画みたよ!
伊藤沙織
伊藤沙織
ありがと
女子
再生回数めちゃくちゃ伸びてる!
女子
私達も見たよ
山名彩香
山名彩香
めっちゃかっこよかった
伊藤沙織
伊藤沙織
ありがと・・・

クラスのみんなが駆け寄ってきて、あっという間に沙織は囲まれた。
その中には彩香もいて、なんだか胸が締め付けられて苦しくなる。
あなた

・・・ッ

春日篤
春日篤
大丈夫、何も無いから

そう私にだけ聞こえるような声で囁いて、私の手を握った。
篤はいつだって私が求めている言葉をくれるんだ。
女子
でもさ、なんで急にライブの動画アップする気になったの?
伊藤沙織
伊藤沙織
あぁ・・・それは・・・
先生
私のアイディアだよ
女子
えっ?
突然現れたガシムラは私たちに近づいてきて、自慢げに言った。
先生
沙織ー、まずまずの滑り出しだな
伊藤沙織
伊藤沙織
どうも
先生
言っておくが、今後沙織のプロデュースはこの私が担当するからな!
女子
えっ、そうなの?
先生
なんでガシムラが?
先生
ハッキリ言うが、我が富室高はどこにでもあるような平凡な高校だ。
そこからガシムラがプロデュースするきっかけを話し出した。

結局は沙織の才能に便乗しているだけなのに偉そうに話をしている。
先生
次の時代は私と沙織が作る!
MAXガシムラと呼んでくれ。
あなた

いや、ダサっ(ボソッ)

風間竜二
風間竜二
なんかガシムラ、キャラかわった?

熱く語ったガシムラは、叫びながら教室を出た。
そして、沙織も私たちの輪からそっと抜け出して教室を出ようとした。
風間竜二
風間竜二
MAXガシムラ?
春日篤
春日篤
おい、沙織!
伊藤沙織
伊藤沙織
あっ、そうだ。
あんたら三馬鹿のリーダーに言っといて。
風間竜二
風間竜二
んあ゛?悟のことか?
伊藤沙織
伊藤沙織
ムキテー解けたらシャーペン返せって

それだけ言って沙織は教室を出ていった。
春日篤
春日篤
シャーペン?
風間竜二
風間竜二
チッチッチッチッチッチッ
あなた

竜二、舌打ちやめなさい

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