真実を語る財前くんの生インタビューが始まった。
財前くんはこの前話してくれたように、あの日起きたことを話し始めた。
ずっと求めていた言葉が、やっとみんなに発信された。
明彦たちから柚木原って人を教えて貰って、犯人らしき人を特定した私たちは、後日、犯人の後を付けることにした。
ビデオ通話しながら、明彦・和彦・財前くんに容疑のかかった男を確認してもらいながらみんなで着いていく。
ホテルのロビーで会話する二人。
距離があって何を話しているか分からないけど、親密そうな感じがする。
突然現れた彩香は、篤にあえて嬉しいみたいで、大きな声で話し始めた。
恋のライバルが現れて、私の胸は大きく鼓動をした。
篤の願いだからか、彩香は嬉しそうに笑うと柚木原たちの方へと歩いてく。
ただの嫉妬なのに、道史は私を甘やかして頭を撫でた。
篤の声でみんな振り返ると、篤はスマホから聞こえる音声をスピーカーにして私たちに聞かせた。
柚木原の方へと行った彩香と通話しているらしい。
なんだか余計嫉妬するけど、今は有り難い。
やっぱり前言撤回。
隣にいるのは私なはずなのに、彼女なのは私なはずなのに、彩香には嫉妬しかない。
私たちは急いで秘密基地に戻ろうとした。
だけど、
みんなが先を行くのに、私だけ呼び止めた篤は、私の正面に立った。
そっぽを向いて照れたようにそう呟く篤。
なんだか嬉しくって、篤の手を取ってホテルを後にした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!