突然ドアが開いて同じクラスの山田和彦が飛び込んできたと思ったら、変なことを大声で叫び出す。
フォローした明彦を、和彦は突き飛ばした。
テーブルの上を片付けようとしているとき、明彦がふいに部屋の中を探り始めた。
三平さんの銃に手を伸ばしていた明彦に大きな声を上げたから、明彦は驚いて後ろに倒れた。
竜二が覆い被さるように荷物を隠して、怒る三平さんは篤が宥めていた。
戦時中かは来たことを知られるとめんどくさいと思って、慌てて三平さんを止めた。
必死で隠してるのに三平さんはお構い無しに明彦の前に出て、問いかける。
そう山田くんたちはお金持ちで、町一番の豪邸にすんでいる。
そう言って置かれていた家具を動かすと、私たちの知らない奥の部屋が現れた。
後ろにあった実験器具を竜二が触れる。
和彦は頭を掻きながら、下を向いた。
三平さんと私はハンモックに座って、バチバチと火花が散りそうな二組のやり合いをうちわで仰ぎながら見ていた。
実際に戦争を体験した軍人さんの言う"徹底的にやりあう"という言葉は、重みが違う。
そう嗾けるけど、お互いそんなことやったことも無いから動けなくて固まったまま。
明彦と竜二の手を無理やり取って結ばせると笑顔を向けた。
私もその2人の手に自分の手を重ねて、笑った。
結局、三平さんが間に入ってこの仲が悪い2組は、1部屋を私たちが、奥の部屋を山田兄弟が使うことで決着がついた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。