第41話

俺ん家来いよ
4,124
2020/09/21 07:12
父親
降りなさい
あなた

・・・

家の駐車場に車を停めて、私に降りろと命令をした。

家に入ったら何をされるかなんて分かってるから、恐怖で身体が動かない。
父親
早くしろ!
あなた

ごめんなさい

大声は苦手だ。
私はこの男の声で、慌てて車をおりて家に入った。
父親
なんでいつまでもあんな奴らとつるむんだ?
あなた

悟たちは"あんな奴ら"なんかじゃない

父親
うるさいっ!口の利き方を弁えろ!

ーバシッ
あなた

・・・っ!


平手打ちで叩かれた頬。
初めて"見える場所"を打たれて、建前とか関係なくなったコイツは何するか分からないって恐怖を感じた。
父親
お前はなんも分かってない
ーバシッ
あなた

・・・

父親
親に育ててもらってる分際で親の言うことを聞かないとは何様だっ!
ーバシッ
あなた

・・・

何度も罵声とともに殴られて、言葉も出ない。




助けて、篤。悟、竜二。
・・・みんな、助けて。


そんな思いだけが頭をよぎる。
父親
育ててもらってるだけ有難いと思え!
ーバシッ
あなた

・・・ッ!!

何度も何度も殴られた身体はボロボロで、床に座っていることさえ辛い。
あなた

もう・・・ゆるして、

父親
うるさいっ!!
ーバシッ
あなた

うっ・・・


思い切り叩かれた私は床に倒れて、そのまま意識を失った。



















ーピンポン、ピンポーン
あなた

んっ・・・

どれくらい経ったんだろう。
騒がしく鳴り響く玄関のチャイムと外の音で私は目を覚ました。
瀬名悟
瀬名悟
あなたっ!!
春日篤
春日篤
あなたっ、居るんだろ?!
風間竜二
風間竜二
あなたっ!
柴山道史
柴山道史
あなたっ!あなたっ!

何度も呼ばれる私の名前。
重たくて痛い身体を動かして、私は窓の外を見た。

門のところで私を呼ぶみんな。
三平さんや明彦和彦もいる。
三平三平
三平三平
深田さん!
ちょっと出てきて話をしませんか!
山田明彦
山田明彦
あなたっ!大丈夫か?
山田和彦
山田和彦
あなたーっ!!

外で騒いでいるのに対応していないということは・・・
父親
あぁ、家の外で不良たちが騒いでいるんだ。
すぐ来てくれ。
母親
あなた、1度出た方が・・・
父親
お前は黙っていなさい
母親
はい・・・

書斎という名の暴行部屋を抜け出して1階に向かうと、案の定、あの人は電話で指示を出している。

きっと相手は警察の部下の人。
警察の偉い地位のあの人は、こうやって違う方向で権力を使うんだ。
あなた

・・・


バレないようにリビングを通り越して、私はそっと玄関を出ようとした。
父親
おいっ、あなた!
あなた

・・・ッ!!


あと少しで玄関をでるという所でバレて、私を追いかけてくる。

ボロボロで歩くことさえままならない身体を引きずりながら、私は急いで玄関を出た。

春日篤
春日篤
あなたっ!
瀬名悟
瀬名悟
大丈夫だったか?
三平三平
三平三平
ボロボロじゃないか・・・
あなた

・・・たすけて、

父親
待てと言ってるんだ!
あなた

いやっ・・・


門までの道のりであの人に捕まった私は、地面を引きずられるように家の方へと引き戻される。

はずだったのに、、、



三平三平
三平三平
大切な娘に何してるかわかっとるんか!



軽々と門を越えた三平さんが、私を守るように引き戻した。

篤たちも次々と敷地の中へと入ってきて、私を守るように立ち塞がる。
春日篤
春日篤
大丈夫か?
あなた

・・・うん、

父親
お前たち、人の家に勝手に入ってどういうつもりだ!
瀬名悟
瀬名悟
そっちこそ、娘に手をあげるなんてどういうつもりだよ!!
父親
教育だよ、教育。まともな大人になるためにはきちんと躾ないといけないんだ。
三平三平
三平三平
なにが教育だ。なにが躾だ。
こんなのただの暴力や!
父親
あなたどちらさまですか?
うちのことに口を挟まないでいただきたい。
三平三平
三平三平
嫌な世の中になったなぁ。
父親
は?
三平三平
三平三平
昔は地域のみんなで子育てをしたもんだ。
子供に手を上げることもあった。
父親
同じじゃないか
三平三平
三平三平
違う!手を上げていいのは本当に悪いことを悪いことだと教える時だけだ。あなたは「教育」と「暴力」を混同している。
私の方を見て三平さんはこう続けた。
三平三平
三平三平
目に入れても痛くないはずの自分の子どもに、なぜ手があげられる?
父親
うちのことにとやかく言うな!
まもなく部下がくる。お前らみんな不法侵入で捕まえてやるからな!
三平三平
三平三平
こんなボロボロの娘さんの証言があれば、部下の方だって正義の心が動くやろうな。
父親
・・・ッ!!お前、分かってるだろうな!
あなた

・・・(ビクッ)


私に圧をかけるように大声で叫んだこの人に、私は大きく震えた。

だけど、そんな私を篤がギュッと抱きしめて言うんだ。

春日篤
春日篤
大丈夫、俺が守るから
あなた

篤・・・

瀬名悟
瀬名悟
俺らだっているじゃん!
風間竜二
風間竜二
黙って耐えてるなんて水くさいんだよ(笑)
あなた

ありがと、みんな


その後、部下の人が来て、私が本当のことを全て伝えるとさすがに問題になるからと家から離れて暮らせるようにしてくれた。

その代わり、父親のやったことは口外しないこと。
それが条件。

世間体を気にして、娘を手放して自分の地位を守ることをあの人は選んだ。




あなた

本当にみんなありがと

瀬名悟
瀬名悟
これからどうする?秘密基地なら三平さんいるけど場所バレてるし・・・
風間竜二
風間竜二
三平さんと同棲するってことか?!
山田和彦
山田和彦
それはダメ!
山田明彦
山田明彦
なにそんな慌ててんだよ
柴山道史
柴山道史
施設に入るのもあなたが大変そうだし・・・
山田和彦
山田和彦
うちの親に頼んでマンション借りてもらう?
あなた

そんなの悪いからダメだよ

春日篤
春日篤
・・・俺ん家来いよ
悟・竜二・篤・あなた
(篤以外)・・・えっ///
山田明彦
山田明彦
なんで悟と竜二まで顔赤くしてんだよ
瀬名悟
瀬名悟
だ、だって。なぁ?///
風間竜二
風間竜二
篤、いくらなんでもそれは・・・
さ、さすがに早ぇんじゃねーの?///
春日篤
春日篤
遅かれ早かれ一緒に住もうって話すつもりだったし。どうする?
あなた

迷惑じゃなければ・・・

春日篤
春日篤
迷惑なわけないだろ。
その代わり・・・これからは全部話して。
そうじゃないと守れるものも守れなくなる。
あなた

・・・うん、うん。


私を抱きしめてそっと言った篤に抱きついて、私は何度も頷いた。

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