篤は机を1発殴ると、走って教室を出ていった。
@放送室
ーガチャンッ
放送室に入ると、タブレット越しに話す明菜と篤たちにビビりながらタブレットの後ろに隠れる高橋くん。
あくまで三平さんを悪者にしようとする明菜に怒りを抑えきれなくなった篤は、その場に居た高橋くんにつかみかかった。
普段なら止めるけど、さすがに私だって篤と同じ気持ちだ。
篤を煽るように高橋くんが尋ねると、篤は右手を振り上げた。
だけど、
高橋くんの手にはスマホがあって、カメラが篤に向けられていた。
篤も高橋くんを睨みつけて、放送室を出た。
放課後、「三平さんを助けたい」その一心で誰が号令をかけるでも無く、私たちは海に集まっていた。
みんなでありったけのお金をかき集めるけど、全然足りなくて、自分たちの無力さを痛感した。
カバンを持ってみんなの場所を離れようとすると、篤が私の手を掴んで引き止めた。
止める篤の手を外して、私はひとりで海を後にした。
三平さんを助けるために、私に出来ることをひとつだけ思いついたから。
これは絶対1人で行かなきゃダメだって、そう思ったんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。