ドアを開けると、ナワーブが一目惚れをしているあの長身の男が突っ立っていた。
長身の男はナワーブを壁に打ち付け、左手に付いてある大きな刃をナワーブの首の手前で止める。
ナワーブは冷や汗をタラタラと流し、顔を青色に染める。そんなナワーブが面白いのか、クツクツとリッパーは笑った。
ナワーブは謝りつつも、ギラギラとリッパーを撃ち抜くように睨む。
ナワーブは前蹴りをして、リッパーの腹を蹴る。いきなりの事で驚いたのか、リッパーは5センチほど後退りをしてナワーブを睨む。
ヘラ、とナワーブは笑ってリッパーに微笑む。
リッパーが外を出て、扉を閉める。
ナワーブはリッパーに聞こえないような声でこう呟いた。
リッパーは、ナワーブの扉の目の前で突っ立っていた。聞き耳を立てて。
ハンターは耳がいい。なのでナワーブが部屋の中で呟こうともその声は聞こえているのだ。
「月が綺麗ですね」
なんて、あの傭兵があの言葉を知っているのだろうか、それでも、リッパーはナワーブに恋愛感情で好かれている、ということを知ってしまう。
リッパーはナワーブに好かれているということをしらばっくれ、告白される時にキッパリと断ってやろうと思ったのだ。この殺人鬼はとても非情な奴だった。
そんな殺人鬼に一目惚れをするナワーブもナワーブだが...
リッパーは特質の瞬間移動を使い、ハンター達が集まる大広間へと移動した。
ぽそぽそと心配をする。でもナワーブの想いは既に相手に聞こえて、その相手は断ろうとしているのだ。
その恋は実らないだろう。
いつもよりも少し重たい足取りでナワーブは食堂に向かった。
他の仲間たちによう!とか声をかけられるがナワーブは少し向かって笑うだけで会話を繋げようともしなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。