第3話

第3話 叶わぬ恋
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2019/12/17 11:29
ドアを開けると、ナワーブが一目惚れをしているあの長身の男が突っ立っていた。
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
フフ、こんばんは、傭兵くん。昼のこと、覚えているでしょう?
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
えっ、あっ、あ、か、帰れ!!!
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
帰る訳にもいけません。私は貴方に伝えたい事がある。
長身の男はナワーブを壁に打ち付け、左手に付いてある大きな刃をナワーブの首の手前で止める。

ナワーブは冷や汗をタラタラと流し、顔を青色に染める。そんなナワーブが面白いのか、クツクツとリッパーは笑った。
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
っひ...!!やめろ!あの時のは謝るから!!
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
はは、駄犬でも謝ることは分かるようだ。ほら、謝ってみろ!「仮面男って言ってすいませんでした!」って!!
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
仮面男って、言って、すま、ねぇ...
ナワーブは謝りつつも、ギラギラとリッパーを撃ち抜くように睨む。
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
っは、ははは!!!なんだその眼は!睨むだけで私がへこたれるとでも?!
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
だま、れ!!!
ナワーブは前蹴りをして、リッパーの腹を蹴る。いきなりの事で驚いたのか、リッパーは5センチほど後退りをしてナワーブを睨む。
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
っ...貴様、私に勝負とでも?
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
あのな...?
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
ほぉ?聞いてあげましょう。
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
...本名じゃなくてもいい、名前だけ、教えてくれ、こんな状況で言うのもあれだけど、教えてくれないか
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
...何を言い出すかと思えば、名前か?...私はリッパーだ。それだけの事は教えよう。
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
...ありがとう
ヘラ、とナワーブは笑ってリッパーに微笑む。
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
...はぁ、全く、ここの所は許してやる。
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
ほんとか?!!
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
だが、次リッパー以外の名で私を呼べば、貴様のような脳みそでも考えれるだろう?
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
おう!おう!!
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
それじゃ、私は戻る。また試合で。
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
...あぁ!!
リッパーが外を出て、扉を閉める。
ナワーブはリッパーに聞こえないような声でこう呟いた。
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
...月が、綺麗ですね。






リッパーは、ナワーブの扉の目の前で突っ立っていた。聞き耳を立てて。

ハンターは耳がいい。なのでナワーブが部屋の中で呟こうともその声は聞こえているのだ。
「月が綺麗ですね」
なんて、あの傭兵があの言葉を知っているのだろうか、それでも、リッパーはナワーブに恋愛感情で好かれている、ということを知ってしまう。
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
...そうだ。良いことを思いついたぞ。
リッパーはナワーブに好かれているということをしらばっくれ、告白される時にキッパリと断ってやろうと思ったのだ。この殺人鬼はとても非情な奴だった。
そんな殺人鬼に一目惚れをするナワーブもナワーブだが...
ジャック・ザ・リッパー
ジャック・ザ・リッパー
さて、もう帰ろうか。夜ですし。
リッパーは特質の瞬間移動を使い、ハンター達が集まる大広間へと移動した。
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
...聞かれて、ないかな。あいつ、耳いいし。
ぽそぽそと心配をする。でもナワーブの想いは既に相手に聞こえて、その相手は断ろうとしているのだ。
その恋は実らないだろう。
ナワーブ・ザベダー
ナワーブ・ザベダー
...もう夜飯の時間だし、食堂に行くか。
いつもよりも少し重たい足取りでナワーブは食堂に向かった。
他の仲間たちによう!とか声をかけられるがナワーブは少し向かって笑うだけで会話を繋げようともしなかった。

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