第15話

You side
1,128
2021/04/30 17:55

それからの1ヶ月は凄く長く感じた、



やっと今日から撮影が始まる



仕事に行くことがこんなにも
嬉しいと思ったのは初めて



『おはよぉ!』



ウキウキした気持ちを隠す事が出来ない
私はいつもとは考えられない程の明るさで
車に入ると



マ「あれ?今日は元気ね、」


驚いた顔をしたマネージャーが私を見る



『そう?そんなこと無いけど、』



そう言って帽子を深く被りイヤホンを付ける




ゆっくり目を閉じて音楽の音量を上げた




やっと会える、
会ってどんな顔をして挨拶すればいい?



私の顔に"好き"なんて書いてない?



ずっと楽しみにしてたの、
やっとこの日がきたの、



退屈だった私の人生に光を当ててくれた



私は蓮と会うと苦しかったこの生活も
楽しく過ごすことが出来るんだもん




マ「あなた、着いたわよ」


ポンポンと肩を叩かれて目をゆっくり開け


車から降りてスタジオの中に入ると
沢山の椅子と机が置いてある



"七海 あなた"と書かれた席につき
台本を読んでいると



蓮「おはようございます!」



後ろから私の大好きな人の声が聞こえた



スタッフさんや出演者さんに挨拶をして
私の名前の隣にある



"目黒 蓮"と書かれている席に近づいてくる



蓮「初めてまして、目黒 蓮です」


蓮「よろしくお願いします!」


私に深々と頭を下げる蓮


『えっ…、』


ゆっくり顔を上げた蓮は目で私に合図をし
チラッと蓮の斜め後ろを見ると蓮の
マネージャーさんが居た



私も席を立ち


『初めてまして、七海 あなたです。』

『よろしくお願いします、』


そう言って微笑むと蓮は一瞬だけ微笑んで
席に着き真剣に台本を読み始める




やっと会えたのに
気さくに話すことが出来ないのは



蓮はアイドルで
私は人気タレントだから、



淡々と本読みが行われ今日は終了



蓮「明日からよろしくお願いします!」



そう言って私に頭を下げた蓮が
顔を上げる瞬間


私にしか聞こえない本当に小さな声で



蓮「LINEするね、」



ニコッと私に笑いかけ



『こちらこそありがとうございました、』



私も笑いかけ頭を下げた





決してバレてはいけない恋愛だけど、





私は蓮を諦めたくない、







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