※21歳組中心。現パロ
大丈夫ですか?
1、capriccioso
この大学には「秀才」と謳われる人がいるらしい
「なぁ、知ってるか?」
突然、突拍子もなくそんなことを訊いたのは年中マスクの珍しいが綺麗な目をしたオッドアイの男、伊黒小芭内だった。
「なんだァ、藪から棒にィ」
そう荒々しく答えたのは音大に通っているとは思ないほど筋肉質で、傷だらけの男、不死川実弥だった。
「大学の音楽学部器楽科、つまりお前と同じ所だ。「秀才」と謳われる、比喩するにしても「神様」と謳われるのが居るらしい」
「それがどうしたァ」
「知らなかったのか?みたいだな。まぁいい。不死川もなんとなく分かっているのだろう?でなきゃ俺がなんも脈絡も無く、こんな話題を出す訳がない。そうだ。その「秀才(笑)」とやらの情報をくれ。あわよくば、接近してくれ。」
「ふざけるなァ、俺はそんなに暇じゃねェ、他をあたれェ」
「俺のねちっこさを忘れたのか?」
不死川は考えた。この男のねちっこさを忘れた訳では無い。けれど、不死川が暇じゃ無い訳でも無い。俺が断ってもこの男はずっと言ってくるだろうなぁー不死川は遠い目をしながらそんなことを考えていた。
「分かったァ、それ、受けてやるよォ。でも、俺は本当に暇を持て余してる訳じゃねェからなァ??」
「すまない。助かった。流石は不死川だ。」
「誰から言われたァ?見当はついているがまさかァ、、、」
「そのまさかだな。うん。甘露寺だ。」
コイツ、ブレねェ。そう思った不死川だった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。