奥村side
あの後、ひとりで寝るのはまた怖い夢を見そうで怖かったから、ちょっと狭かったけどラウと一緒に寝た。
そのおかげでゆっくりと寝ることが出来て、朝には頭がすっきりした状態で起きることが出来た。
素直に嬉しかった。
「いてくれるだけで心の支えになる」なんて。
「今のままで大丈夫」なんて。
いつも言われてから気付く。
ああ、これは今、私が一番言われたかった言葉だって。
だから、自分でも気付かないのにその言葉を言ってくれるラウの存在が、私にとって何よりも大切だ。
ラウの手を握った。
私はこの人がいるから生きていける。
この人がいなければ、きっと生きていけない。
だから、この手は絶対に離さない。
ずっとこの人の隣にいたい。
神様、どうか私たちのことは引き裂かないで。
急に手を握られてびっくりしているラウに愛おしさを感じて、大きな背中に抱きついた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。