第52話

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2022/10/12 07:57
ラウールside

夜、泣き声のような微かな音が聞こえて目が覚めた。

時計を見ると深夜2時過ぎ。

耳を澄ますと、2つのベッドを遮るカーテンの向こうから、苦しそうな泣き声が聞こえる。
ラウール
ラウール
あなた...?
カーテンの間をすり抜けてあなたの方に行くと、その顔には涙が伝っていた。

時々苦しそうな声で「なんで...」と寝言で行っている。

シェアハウスを始めてからこんなことはなかったからびっくりした。

ということは、昨日寝る前までに嫌なことがあったってこと?

昼過ぎのやつ、嫌だったのかな...。

でも、そんな様子はなかったし、むしろ真逆だった。

それか、そのことで何か嫌なこと思い出させちゃったとか...?

うなされているあなたを見るのがあまりにも苦しくて、声をかけた。
ラウール
ラウール
あなた、あなた
ラウール
ラウール
あなた、大丈夫?1回起きよ?
体を揺すってもなかなか目を覚まさない。

それでもこのままにしてはいけない気がして声をかけ続けた。







花岡side

泣き続けて急に意識が遠のいたと思ったら、今度は誰かが私を呼ぶ声が微かに聞こえた。

「あなた、あなた」

ぼんやりと聞こえるその声は、確かに私が大好きな人の声だった。

手を動かすと布団に当たり、今寝ていることを理解した。

じゃあ、あれは夢...?

目を開けると、心配そうな顔をしたラウが私の顔を覗き込んでいた。
ラウール
ラウール
あなた!大丈夫?
(なまえ)
あなた
ラウ...
体を起こしてラウの姿をしっかりと見る。

あれは現実じゃない。

ただの悪夢だ。

それをはっきりと理解した瞬間、涙が次々と溢れてきた。
(なまえ)
あなた
っ、...
ラウール
ラウール
あなた...
ベッドに座りそっと抱きしめてくれるラウ。

その温もりで、あれは本当に現実じゃないと確信できた。

深夜2時過ぎ。

真っ暗な部屋で、ラウの温もりに包まれながら泣き続けた。

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