第51話

🧊 7 🧊
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2022/10/11 08:10
奥村side

いつもの楽屋で、みんなでワイワイ騒いでいた。

コンコンとドアを叩く音が聞こえ、マネージャーが入ってくる。

いつも通り仕分けされた束を受け取り、中身を見ていく。

ちょっと怖いなと思いながらも、隣にはラウがいるから、と思い1つ目の封筒から便箋を取り出す。
(なまえ)
あなた
っ...
そこには、罫線に沿って綺麗に並んだ暴言の数々。

見慣れた言葉だけどやっぱり怖くて悔しくて、涙が滲みそうになる。

封筒に戻し別の封筒を開ける。

バラバラとカッターの刃が出てきて、そのうちの1つが私の指をサッと切った。

血が滲み、その血が手に取った便箋にうつる。

中には、血と同じくらい真っ赤な色のペンで書かれた酷い言葉。

なんでこんなこと言われないといけないの。

そう思い温かい言葉が書かれているファンレターを探して次々と封を開けるけど、出てくるのは誹謗中傷の言葉とカッターの刃ばかり。

私の目の前には私が散らかした封筒と便箋が散らばり、血を拭いたティッシュも紛れているのに、メンバーは誰一人として私のことを見ない。

まるで私のことが見えていないかのように。
(なまえ)
あなた
っ、なんでっ、なんで...っ
私の声でやっとみんなが私に顔を向けたけど、その目には光が一切なかった。

表情も、私がよく知る優しい顔ではなくて、突き放すような冷たい顔。
(なまえ)
あなた
みん...な...?
岩本照
岩本照
ふっ、いい気味
(なまえ)
あなた
え...?
渡辺翔太
渡辺翔太
お前なんかにファンレター届くわけねえだろ
深澤辰哉
深澤辰哉
そもそもお前に本当のファンなんていねえよ
目黒蓮
目黒蓮
手、血だらけじゃん、俺らに触んなよ
佐久間大介
佐久間大介
ほんとだ、かわいそー笑
(なまえ)
あなた
何...言ってるの...?
阿部亮平
阿部亮平
何って笑
向井康二
向井康二
そんなこともわからんの?ほんまかわいそうな子やな
宮舘涼太
宮舘涼太
あなたには血がお似合いだよ
(なまえ)
あなた
嘘でしょ、なんで...
岩本照
岩本照
今まで言わなかったけど、まじで目障りだった
岩本照
岩本照
女のくせに、俺らより目立ってんじゃねえよ
(なまえ)
あなた
っ...
(なまえ)
あなた
ら、ラウ...
ラウール
ラウール
あれ、もしかして僕のこと味方だと思ってる?笑
ラウール
ラウール
ざんねーん、僕もあなたのこと大っ嫌いだから
ラウール
ラウール
あ、もう恋人ごっこ終わりね
目黒蓮
目黒蓮
え、ラウールこいつと付き合ってたの?
ラウール
ラウール
だってー、付き合わないとできないことっていろいろあるじゃん?
ラウール
ラウール
1回ヤれたからもういいかなーって
深澤辰哉
深澤辰哉
うわ、悪いやつだー笑
渡辺翔太
渡辺翔太
よくこんなやつ抱けるな
ラウール
ラウール
体だけはいいからね
(なまえ)
あなた
ねえ、みんな、何言ってるの...?
佐久間大介
佐久間大介
まだわかんない?
佐久間大介
佐久間大介
俺ら、お前のこと大嫌いなの
阿部亮平
阿部亮平
あとから来たくせに何俺らより目立とうとしてんの?
岩本照
岩本照
てことで、苦しみたくなければとっととSnow Man辞めろよ
向井康二
向井康二
もう同じ空間おるの限界なんよ
宮舘涼太
宮舘涼太
俺らは9人で十分だよな
深澤辰哉
深澤辰哉
そうそう
(なまえ)
あなた
嘘、ねえ、嘘って言ってよ...
どれだけ泣いても、降ってくるのは優しい言葉なんかじゃなくて冷たい視線だけ。

なんで?

ずっと一緒だよって、10人で世界一目指そうねって言ったのは、なんだったの?

自分でも信じられないくらい泣きまくって、もう何が何だかわからなくなった頃、そのまますーっと意識を手放した。

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