あなたが退院した。今日から2人での生活が始まる。今までも2人で生活したが今日からは違う。空気が重い。少し憂鬱だが「あなたの為に頑張らないと!」と思えば楽しいもんだ。距離が遠くなった。前まではもう距離なんて無いくらいだったのに…今は地球1周分ぐらい離れている感じだ。それがなにより辛かった。
利「あなたさん…。お食事の用意が出来ました」
『はい。』
利「今日は、天気がいいですね」
『そうね。でも、午後からは雨よ』
利「こちらです。」
『おいしそう……。いただきます』
利「( ^ω^)」
「おいしそう」と言って貰えただけで嬉しく感じた。
『ご馳走様でした。おいしかったです。ありがとう』
利「いえ、こちらこそ。」
『私は今日は部屋にいるから』
利「かしこまりました…。」
利「あのっ!……」
『はい?』
利「僕、私は執事なのになぜ敬語を使うんですか」
『誰だってそうよ。初対面の人にタメ口なんて使えないわ』
利「で、ですよね…」
『それじゃあ』
利「ごゆっくり…」
莉犬は隠れて泣き続けた。今ではもう話しかけてさえくれない……。
利「。・゚・(*ノД`*)・゚・。」
プルルルル
利「電話電話ー」
利「はい。もしもし」
な「あ!莉犬くーん今近くにいるからよってもいい?」
利「なーくん!いいよ!来てきて」
な「分かったー。じゃあ行くわ」
利「救世主登場!」
コンコン
利「失礼します。あの、今から、ななもり様が来るとのことです。」
『なーくんが?』
利「はい。」
『やったぁ!!!!』
利(嬉しそうで良かったな)
〜数十分後〜
な「おじゃましまーす」
さ「失礼失礼」
ジ「いらっしゃーい」
こ「おい!お前違うだろw」
ジ「え?ここは、俺とあなたの愛の住処ですけど?」
る「きもっw」
な「るぅとくんw」
『なーくん!』ギュッ
な「あなた!」ギュッ
なーくんは抱きしめてくれた。優しく。
『久しぶり!』
な「相変わらず身長は変わんないんだね」
『ちょっとは伸びたもん!』
る「( -ω- `)フッまだまだですね」
『るぅとくん縮め』
こ「そうだ!そうだ!縮め縮め!」
る「o(`・ω´・+o) ドヤァ…!」
さ「上から目線すんなよ」
ジ「ムカつくわ〜」
る「ん?」
ジ「なんでもないですー」
「wwwww」
な「あなた、莉犬くんは?」
『多分中だよ。』
な「じゃあさっそく皆でゲームでもやろうよ」
『よっしゃぁぁ!』
さ「もっと女の子らしい言葉使ったら?…」
こ「ゴリラになるんじゃない?」
『あぁ?誰がゴリラや!』
『きゃあ!怖いぃ』
『女の子になってみました』
さ「合わない」
こ「無理」
『でしょー』
利(僕もあの中入りたいな…無理だけど)
僕は声を押し殺して泣いた。大切な人に忘れられるとこんなに悲しいんだ。皆とゲームやりたいな…。
な「莉犬くん」ヨシヨシ(。´・ω・)ノ゙
利「なーぐぅうぅうん!!(泣)」ギュッ
な「大丈夫だって!絶対戻るって!」ヨシヨシ(。´・ω・)ノ゙
利「辛い……(泣)」
な「あなたもきっと辛いよ。1番大切なものが無くなって、でも、それが何か分からない。だから心のどこかに穴が空いてるんだよ。」
利「じゃあ、僕頑張らないとだね……(泣)」
な「そうそう!その勢い」
利「絶対意地でも思い出させてやる!」
その日から僕は懸命にあなたに尽くすようになった。
利「あなたの世界に僕はいますか?」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。