🐶❤️ side ______
バーチャルスタジオについてからもさっきの女の子が頭に浮かんで離れない
スタッフさんにも大丈夫ですか?と声を掛けられる
今日は俺のために沢山の人が関わってくれていて沢山のリスナーさんが楽しみにしてくれている
今はバーチャルライブだけに集中することにした
ルマから始まった俺のバーチャルライブは前回よりもグレードアップしていてすごかった
目の前にリスナーさんはいないけどコメント欄が見えていて本当にライブをしている気持ちになる
ライブが終わるとスタッフさんがケーキを持ってきてくれてサプライズしてくれた
俺のアニマルが乗った可愛いケーキだ
これを持って家へ帰る
帰り道T○itterを開けばバーチャル楽しかったよなどのツイートやまだまだ俺が見れていないお誕生日ツイートが目に入る
その中の1つのツイートが俺の目に止まった
俺が見たツイートは朝の女の子のツイートだ
着ているお洋服が朝の子と同じでツイートにはお友達に手伝ってもらったと書いていた
そしてその子のツイートを他にも見てみると一緒にバーチャルを見たことや今から帰るなどが書いていた
もしかしたら帰りにまた同じ電車に乗れるかもしれないなんて期待をしながら駅へ向かう
遠くで朝聞いた声が聞こえてきた
その声のする方を見ると朝の女の子が2人いる
たまたま同じ電車に乗ることができた
朝2人が乗ってきた駅で量産型の子が降りた
もう1人の子は友達と別れてから椅子に座って携帯を触りながら寝落ちしている
そろそろ終点に近づいてくる
それに伴って俺の降りる駅も近づいてくる
俺は勇気を振り絞って声をかけることにした
幸い今俺が乗っている車両には俺と女の子を含めて5人しか乗っていない
同じ駅で嬉しいなんて少し変態紛いなことを考える
それよりもこの子はとっても礼儀がいい
女の子が覚えてくれていることがすごく嬉しかった
でもどうして携帯に文字を打ち込んでるんだろ?
携帯を見せてお話している
不思議に思ったがそこまで深くは考えなかった
そこから2人で電車を降りて帰り道を歩く
帰り道の方向まで一緒なことには驚いた
自分で女の子に質問してはなんだが大分ヤバいことを聞いている気がする
普通だったら教えてくれないことであり自分でも分かりきってることなのに聞きたい
俺の活動で人を笑顔にすることが出来ていることやリスナーさん以外の第3者の意見を生で聞くことが出来て俺は素直に嬉しかった
この女の子はリスナーさんじゃないけどリスナーさんじゃない人からもそう思ってもらっていることがなによりも嬉しい
俺は言うかどうか迷った
連絡先を知りたいなんて言っていいのだろうか
あなたちゃんはニコって笑って連絡先を交換してくれた
リスナーさんかもしれない子と連絡先を交換してしまったという少しの罪悪感と好きな子の連絡先を知ることができたという喜びが混ざる
ばいばいと手を振って別れた
携帯には好きな子の名前と可愛いアイコンがある
家に帰ったら一言でも連絡してみようかなって考えながら家に帰った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。