風のように宿内を走り抜けて外へと出た。
後ろには疲れきった炭治郎さん達がいた。
明らかに疲れている様子で否定し続ける伊之助さん。
だが今はそんな事を突っ込んでいる暇は無い。
私は急いでお面をつけるといつもの格好になった。
私は町中を探し回った。
だが気配が強い者は誰一人としていなかった。
炭治郎さんにそう言われ私は後ろを追った。
炭治郎さんは嗅覚が鋭い為一度覚えた匂いは忘れないそうだ。
特に鬼は独特な匂いで特徴的と言っていた。
炭治郎さんの方角は的中。
私達が探し求めていた鬼舞辻無惨が今目の前にいる。
私は手がプルプルと震えていた。
その中でも炭治郎さんは冷静で鬼舞辻無惨に話しかけていた。
チラチラと私の事を見てくる炭治郎さん。
多分助けて欲しいのだろう。
私は「仕方ない」と言う顔をして、鬼舞辻無惨に話しかけた。
私は怒りに満ちていた。
大切な人を失った人々の悲しい気持ちを簡単に侮辱できる程の悪感の塊だ。
鬼舞辻無惨はどれだけの人間をその手で殺してきたのだろう。
今すぐにでも殺したかったが、私はその気持ちを抑える事にした。
目の前にいた鬼舞辻無惨が消えた。
瞬発に私のお面が鬼舞辻無惨の手で弾かれてしまった。
『カロンコロン』
真っ二つに割れたお面が私の真下に落ちていた。
私は驚きを隠せなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。