今日は霞柱の時透さんとの合同任務
自己紹介以来全く話しておらず少し心配である私だった。
凛に案内され着いた場所にはもう既に時透さんは到着していた様だった。
私の名を呼ばれ私は返事をした。
時透さんはもたれかかっていた壁から背中を離すと此方に歩いてきた。
すると顔を近くにして見てきた。
この人はよく分からない。
急に顔は近づけてくるし普通に距離感が保てないようだった。
私は返事をし着いて行った。
スタスタと歩く速さは物凄く速かった。
この人はどこかせっかちのような気もする。
詳しく説明したつもりだったが興味無さそうな返事が返ってきた。
私の説明はいるのだったのだろうか…
あからさまに興味が無いようだった。
私は不思議に思いながらも彼に着いて行った。
時透さんの鴉に案内され到着した場所は薄暗くいかにも鬼が出そうな気配を持つ山だった。
夜遅くの任務だったためなのか、少し気味が悪い。
山の中に入った瞬間に次々と湧き出てくる鬼達。
全て鬼の中でも底辺の方にいる雑魚鬼だった。
私達は鬼の頸を斬りながら異様な気配を持つ鬼の正体を探るため気配のする方に向かった。
時透さんは鬼が現れる度に「邪魔」と言う言葉を発する。
現地に行く途中に時透さんはそう聞いてきた。
才能に恵まれていた…
その言葉には少し否定気味だ。
いくら希少な家系に生まれたとしても私は才能と言う言葉に実感は無かった。
目をキラキラとさせながら空を見上げた。
時透さんの髪の毛が風になびき長さを表した。
私は目を大きく見開き時透さんを少しの間見つめていた。
こんなにも私の才能を認めてくれた人は今までで初めての事だった。
それから私達は任務を済ませ一夜藤の花の家紋の宿で休む事にした。
その間ずっと私のドキドキと頭の中を駆け巡る時透さんの言葉は離れなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。