第19話

お風呂
910
2020/10/22 09:34
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
では、お風呂の準備が出来ているという事なのでお先に入ってきても良いですか?
時透無一郎
別にいいよ~
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
有難う御座います。
では、お先に失礼致します。
私は無一郎くんに一礼するとお風呂へと向かった。
一番の危機感を感じるのは素顔を公開しない事だ。
バレてしまったらきっと笑われるだろう。
幾ら炭治郎さん達が「可愛い」だの「綺麗」だの言ってくれても私は【かぐや姫様】には届かない程の名前負けだ。
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
うぅ…お面の弱点はやはり、水に濡れたら溶けるという事ですね。
今度お面屋さんにお願いしてみましょうか…
私のお面は水に弱いのだ。
素材が柔らかい為溶けやすく、水を浴びるだけで溶けてしまう。
『ポチャン』
と水飛沫が音を立てた。

水飛沫の音以外は何も聞こえずとても静かだった。
その途端『ボチャン』
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
えッ…?
水上に私のお面が浮いていた。
掴もうとした時には、もう溶け始めていた。
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
えッ…うわぁぁぁ!?
ちょっと…駄目ですって!!
完全に水に溶けたお面を見て私は唖然とした。
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
お面がなきゃ集中出来ません…
無一郎くんにも何と言えば良いんでしょうか!!
私がオロオロとお風呂内を歩き回っていると、お風呂の扉が開いた。
時透無一郎
あなた…?
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
あッ…無一郎くん駄目です!!
私はその場にしゃがみこみ、顔を隠すように足に埋もらせた。
無一郎くんは絶対に心配している顔だろう。
時透無一郎
大声が聞こえたから、来てみたんだけど…何か滑ったとか?
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
いや別に大丈夫です。
お面が溶けてしまって…それに体に巻くものも無くて…
時透無一郎
ちょっと待ってて、巻くもの持ってくるから!!
焦って出て行った。
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
はぁッ…こんな状況になるとは…
私の不注意もありますけど、兄さんが見たら当然怒りますよね?
時透無一郎
持ってきたよ!!
僕は先に出ておくね?
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
あ、有難う御座います。
私は持ってきてくれたタオルを体に巻き付けると外に出た。
少々顔がバレても仕方が無いと覚悟し私は震えながらも外へと行った。
時透無一郎
あなたッ…はっ!!
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
あ、すみません。
この度は本当にご迷惑をかけて…
時透無一郎
いいよ…僕は大丈夫。
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
本当ですか!?
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
それより本当にすみません!!
こんな整っていない顔を見せてしまって、気分が害しましたよね?
時透無一郎
あ、いや…そんな訳…
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
否定は大丈夫です。
私も慣れていますから、正直で大丈夫ですよ?
時透無一郎
僕は一つも不細工とか思ってない。
真剣な顔で言う無一郎くんは遊び半分などそんな表情は一切見れない感じだった。
私にしっかりと向き直ってくれ、真剣な表情のまま私に話してくれた。
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
で、でもッ…私の素顔を見た男性方は皆さん硬直してしまうんですよ!!
時透無一郎
その理由はッ…君が可愛すぎるから、仕方が無いよ…
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
かッ…可愛いなんて!!
そんなお世辞なんていりませんよ!?
時透無一郎
お世辞じゃない…僕は本気だ。
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
むッ…無一郎くん?
急に下を向いた無一郎くんの耳は真っ赤に染っていた。
時透無一郎
素顔見せたのって僕が最初?
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
あ、いえ…炭治郎さん‴達‴に見せました。
時透無一郎
達…?
金髪と猪頭と炭治郎と禰豆子の?
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
あ、はい…認識の仕方が独特ですね。
時透無一郎
炭治郎は覚えやすかったんだ。
脳に刺激を一番に来たからね…
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
そうなんですか…
時透無一郎
僕…あなたの素顔見るの、一番最初が良かったな…
残念がる無一郎くんを見て、私は首を傾げてしまった。
どうして一番最初が良かったのか…イマイチ分からない言葉だった。
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
どうして…一番が良かったんです?
時透無一郎
そんなか可愛い顔今まで一番だったからさ、独り占めしたくて…
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
独り占め…ですか。
時透無一郎
あなたって…意外と鈍感?
月詠 (なまえ)
月詠 あなた
はい?
私は最後まで良く分からなかった。

プリ小説オーディオドラマ