_瑞稀 side_
『一切口を開きませんから!!』
妹からの突然の言葉。
俺は多分その時は困惑していたと思う。
だって大好きな妹と話せないなんて
そんなの当然嫌だ。
だが、親父と話すのも嫌だ。
伊黒は去って行った。
俺はその後も悩みに悩んだ。
それでも答えは見つからず、
最終的には俺の一番の相棒欒を呼んだ。
癖の強い関西弁風な鴉。
こんな不器用な奴だけど、俺の事を励ましてくれている。
本当にやさしい‴相棒‴だ。
俺は決心した。
あなたと仲直りして、親父とも仲直りしてこれで一件落着!!
_瑞稀 side end_
欒から伝達が来た。
どうやら兄が何か決心したようだ。
「話したい事があるから〇〇に来てくれ」
との伝達。
昨日よ事もありながらよく呑気に呼べたと思った私は少しだけうんざりしてしまった。
こんな兄だけど、本人は多分仲直りしたいようだ。
私は大きく「はぁ」と溜息をついた。
凛は隣で苦笑いをしながら見つめてきた。
凛の機嫌が良くなった。
多分お世辞でも嬉しい事なんだろう。
これが嘘だと知ったら多分怒るだろうな。
まぁ嘘では無いから心配はいらない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!