視点なし
佐倉「先生の作品を最初に読んだ時は驚きました
新しくもあって、古きよき小説のにおいも持ち合わせているというか
これからを担う作家性を感じたんです」
そこまで話すと、佐倉はまだ雲雀のワイングラスを下げていないことに気がついた
佐倉「あっ、ごめんなさい。グラスそのままでしたね」
グラスを下げようとすると、手が佐倉のグラスに当たり、割れてしまう
佐倉「あっ!すいません。ごめんなさい。うわっ…」
すると、突然雲雀が立ち上がった
雲雀「今日はもう帰ってください」
佐倉「あっ…でも…」
雲雀「帰ってください!」
佐倉にそう言い残し、雲雀は部屋から去っていった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!