視点なし
翌日
佐倉の鞄の中に入っているスマートフォンに着信が入った
佐倉「もしもし。どうしました?編集長
えっ…」
雲雀の家の呼び鈴を恐る恐る鳴らす佐倉
扉を開け、出てきた雲雀に対して深々と頭を下げた
佐倉「この度は誠に申し訳ありませんでした」
雲雀が座っているソファの右隣に立って再び頭を下げ、謝る佐倉
雲雀「佐倉さんが謝ることは何もありません」
佐倉「だったらなぜ私は雲雀さんの担当を
外されたんですか?」
*回想*
佐倉「えっ…クビ…ですか?」
*
佐倉「急に編集長から雲雀先生の意向だからと言われて。どうしてだかわからなくて」
すると、雲雀は分厚い原稿用紙の束を佐倉に差し出した
雲雀「ここまで書き上げました。読んでください」
佐倉「えっ?
一晩でここまで…
拝読させて頂きます」
佐倉はソファの前に正座し、原稿を読み始めた
佐倉「あっ…これ、昨日のデートのことだ」
<私の顔、なんかついてますか?>
<あーっ、いつもと印象が違うので>
<デートですからね。気合を入れました>
<彼女の好きなスイーツを食べるのが鉄則です>
2章 恋の予兆
<これ、前に投げればいいんですか?>
<さっきから食べてばっかりですみません>
<高いですね。結構>
思わず笑みが溢れる佐倉
すると、雲雀が「佐倉さん!」と言って立ち上がった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!