第85話

3日間
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2019/12/08 03:41
彼女を抱きしめてしばらくしていると勢いよく病室の扉が開く。
美晴 母(美香)
美晴!!
美晴
父さん…母さん…。
あなた

え、?

病室に入ってきたのは俺の両親だった。
それに気づいた彼女は慌てて俺から離れようとするが、俺はそれを許さなかった。
あなた

え、ちょっ…、美晴くんっ、離して、

美晴
やだ。
そんなやり取りをしていると2人が俺たちの所へやってきた。
美晴 母(美香)
心配したけど…大丈夫そうね…笑
母は苦笑した。でも安心したような表情だった。
あなただけじゃなく、みんなに心配かけていたことを俺はようやく気づいた。
美晴
父さん、母さん、心配かけてごめん。来てくれてありがとう。…でも2人とも仕事は?
2人はそんな簡単に仕事を休むことができないはずだ。だって、今までもそうだったから。すると余り口を開かなかった父が話し始める。
美晴 父
休んだよ。それでも3日かかってしまったけどな。
苦笑いをして父さんは言う。
でも、俺は1つ疑問があった。
美晴
え、3日?
ずっと俺から離れようとぐいぐいと押していた彼女が動きを止めて俺の方を見る。 
あなた

あ、そっか。言ってなかったね。美晴くんが倒れた日から今日で3日経ってるの。

“ほら”と言って彼女は自分のスマホを俺に見せてくれる。それを見ると確かにあの日から3日経っていた。
美晴
本当だ…。
てことは彼女は3日間も1人で悩んで、自分を責め続けていたのだと思うと更に申し訳なくなった。
俺はまた彼女を抱きしめる。
美晴
ごめん。3日間も。
俺を宥めるように彼女は俺の背中をぽんぽんと叩く。 
あなた

大丈夫だから。美晴くんこそ自分を責めないで。

俺は彼女の肩に顔を埋める。そして“うん”と呟いた。すると誰かが俺の頭を撫でる。彼女にしては角度がおかしいと思い、顔を上げると母さんが俺の頭を撫でていた。
美晴
母さん、俺もう子供じゃないから。
それでも母は俺の頭を撫で続けた。少し申し訳なさそうな顔をしている。彼女は何かを察したのか立ち上がると自分が座っていたイスを母に差し出した。
あなた

美香さん。これに座ってください。

美晴 母(美香)
大丈夫よ?
母はそう言って断ろうとしたが、彼女は笑顔で首を横に振った。
あなた

いえ、座ってて下さい。私は美晴くんが目を覚ましたことを先生に伝えてきます。なのでその間にご家族で話をしてください。

彼女は俺たちに軽く頭を下げて病室を出ようとする。
美晴
あなた。
名前を呼ぶと彼女はこちらに振り返って首を傾げた。
美晴
ありがとう。
俺がそう言うと彼女は満面の笑みで頷いた。
あなた

うんっ。じゃあ行ってくるね。

彼女は俺に手を振ると病室を出ていった。

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