_美晴くん…助けて…!
その時、倉庫の扉が勢いよく開いた。
そこに居たのは美晴くんだった。
彼に名前を呼ばれた瞬間私の目からは涙が溢れ出た。彼の姿を見て安心してなのか、なんなのかは分からない。でも私は涙で枯れかけの声で彼の名前を呼んだ。
涙でぼやけてよく見えないけれど彼の姿を私はしっかりとらえていた。そんな私たちを見て、男は舌打ちをする。
彼は男をにらむと冷たい口調で言う。
この表情、声、口調。
私はすぐに彼が裏の彼状態だということに気がついた。
男は苦笑しながら言う。
周りにいた手下たちも笑い始めた。
彼らのことは気にせず美晴くんは早歩きでこちらに向かってくる。
“お前ら行け!”という男の声で手下たちが一斉に彼に襲いかかった。彼は男たちの攻撃をうまくかわし、おもいきり殴る。美晴くんってこんなに強かったんだ。そう思っていると彼の後ろに鉄棒を持った男が殴りかかろうとしていた。
私の声で男の存在に気づいた彼だったが、間に合わず振り向いた瞬間殴られてしまった。ガンッという鈍い音がしたと思うと美晴くんは倒れていて頭からは血が流れていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。