小悪魔のように微笑む彼。
私は真っ赤になっているんだろうな…、
真面目に勉強しなきゃと思い、机にむかうとペンを持つ。
だが、全くわからないのでペンが進まなかった。
ちらっと美晴くんを見るとスラスラと解いていてすごいなあなんて思う。私の視線に気づいたのか彼は私を見て首を傾げた。
私はぱっとノートを見下ろす。
何とか解こうとするも、
やっぱり教えてもらった方がいいと思った私は美晴くんの方を見た。
彼は頬杖をつきながら“ん?”と微笑んでいた。
待ってましたと言わんばかりの顔でとっくに
私が問題を解けてないことに気づいていたようだ。
そう言って彼は笑う。
私は頬を膨らませてそう言った。
それを見ながら彼は笑って私も頭を撫でた。
そして彼は丁寧に教えてくれた。
…すっごいわかりやすい。
さっきまではさっぱり分からなかったのに
こんなスラスラ解けるようになるの?
彼はにこっと微笑んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!